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香川真司 10年前

マンU、先制直後の失点で「試合は終わった」。後半に浮き彫りになった柔軟性なきモイーズの戦術

text by 藤井重隆 By Shigetaka Fujii photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

前半機能しなかったバイエルン。「香川から『パスを出せ』と叫ぶべきだった」

「後半になっても状況は変わらず、バレンシアのクロスからエブラの先制点が生まれた。これが試合の分岐点となった。ユナイテッドは小学生のようなミスで直後に失点し、息を吹き返したバイエルンの両サイドMF、ロッベンとリベリが試合を決めた。不運にもモイーズがモウリーニョを連想させた時、希望が消えた」

 試合を生で放映したスカイスポーツの解説者3人は以下のような分析を下している。

―ジェイミー・キャラガー解説者(元リバプールDF/イングランド代表)

「前半8分のチャンスでは、ルーニーは切り返したタイミングで香川にパスを出すべきだったが、戻ったラームが体を入れて香川へのパスコースを上手く切っていたから、シュートを選んだのかもしれない。ルーニーは手詰まりの状態だったから、香川から『パスを出せ』と叫ぶべきだった。

 バイエルンが前半のような戦い方をするのは過去に見たことが無い。『グアルディオラは何をしている?』と考えさせられた。いつも新しい戦術を用いる彼は、サイドバックを守備的MFの位置でプレーさせていた。

 あれはユナイテッドの戦術であるカウンターを受けやすいものだったし、自ら戦術にはまりに行っているようだった。ラームとアラバはオーバーラップしなかったし、前半を見る限り機能してはいなかった。

 今日の試合の流れは非常に速かったが、前半と後半でバイエルンが大きく変わった。バイエルンの2点目はサイド攻撃から生まれたものだったし、右サイドのバレンシアがリベリに振り切られてクロスを上げられ、逆サイドのロッベンがボールを持った時、エブラの対応が遅すぎた。彼はもっと素早く体を寄せるべきだった。

 3失点目の直前にユナイテッドは右サイドからチャンスを作ったが、香川のクロスは良くなかった。彼はエルナンデスに合わせようとしたのだろう。直後にロッベンがドリブルでエブラ、ビディッチとの1対1に勝って得点した。彼のような特別な選手を相手に疲れを見せてしまえば、それが違いを生んでしまう」

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