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長友佑都 10年前

絶対に負けられないラツィオ戦で汚名返上したインテル。長友に受け継がれるサネッティの飽くなき向上心

text by 神尾光臣 photo by Mitsuomi Kamio , Kazhito Yamada / Kaz Photography

“長友を使う”サイドに傾倒した攻撃

 12分にコバチッチのパスを受け、中にカットインの末右足シュート。GKファンブルしCKを確保した。17分にも左サイドを破って左クロス。これはDFにカットされる。さらに23分には、コバチッチのパスに追いつき縦をダッシュ、さらに折り返して右足でクロスを入れた。これはファーでジョナタンが追いつき、ヘッドで折り返す。そして最終的にこぼれ球をエルナネスがミドルシュート。しかし味方に当たった。

 パス出しがワンテンポ早ければ、サイドで1対2となり囲まれる状況を回避出来る。必ず正確にパスを付けてくれるコバチッチの技術もとんでもないのだが、受け手の長友もまた「一対一の部分では自信を持っている」と躊躇無く走り込むからまた凄いのだ。こうして対面のゴンザレスを空転させまくった長友を使うべく、自然と攻撃はサイドに傾倒した。

 そしてイカルディの追加点で2-1と逆転して迎えた37分、これまでの努力が得点となって結実する。今度はコバチッチではなく、後方にいたCBロランドから大胆なロングスルーパスが出る。

 長友のダッシュを信頼してなければ出来ないことだが、彼は期待通り追いついて、ばっくりと空いたゴール前のスペースにグラウンダーのクロスを入れる。これを後方から飛び込んだパラシオが合わせてシュートを放ち、チームの3点目を決めた。

 前半だけで3-1、おおかたこれで試合の趨勢は決した。だがラツィオも諦めず、後半は長友の裏のスペースを突いて攻撃を無力化させようとする。機能していなかったゴンザレスをハーフタイムで下げ、トップ下のフェリペ・アンデルソンをこのサイドへと移す。22分にはこの目の前でパスミスを拾われ、ドリブルでボールを運ばれてピンチを招いてしまった。

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