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日本代表 10年前

ザックはまだ3-4-3を諦めていない――。“伝家の宝刀”の利点とW杯3戦目コロンビア戦で採用すべき理由

ザッケローニ監督の代名詞的布陣だった[3-4-3]。あまり結果がでず、棚上げされた感もあった布陣だが、実は直前合宿で試行していた。オプションの採用をまだ指揮官は諦めていないのだ。改めてこの布陣の利点とW杯で採用すべき理由を考察する。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

コロンビア戦で有効な理由

ザックはまだ3-4-3を諦めていない――。“伝家の宝刀”の利点とW杯3戦目コロンビア戦で採用すべき理由
アルベルト・ザッケローニ監督【写真:Getty Images】

 ブラジルW杯に向けた鹿児島合宿の3日目、ポジショニングの確認練習の中でザッケローニ監督は[3-4-3]の形にも着手した。さかのぼれば2011年のアジアカップを前にした大阪合宿で導入し、3年半の月日が経ったが、実戦でまともに機能したケースはほとんどない。

 本大会では封印したままの方が良いという意見もあるだろう。ただし、「試合の流れや状況によってカメレオンのように形を変えられるチーム」を理想とするザッケローニ監督にとって公式戦まで1ヶ月近くも一緒にトレーニングできるこの時期は、かつてセリエAのウディネーゼやミランで見事に機能させた[3-4-3]を植え付ける最初で最後のチャンスと言えるだろう。

 筆者の個人的な予想としては、コロンビア戦では[3-4-3]をスタートから採用する可能性があると見ている。クラシカルな[4-4-2]をほぼ一貫して使うコロンビアに対して、2トップを常に3人のCBがチェックし、サイドに数的優位を作りやすい[3-4-3]は非常に相性がいいからだ。

 ゾーンを意識しながら局面ではマンツーマンで来るコロンビアは全体がワイドに広がりやすい傾向があり、サイドで起点を作り、速いクロスに逆サイドの選手が斜めに飛び出していくような形に弱いところがある。

 最少失点だった南米予選でも[3-4-3]のチリに序盤から崩され3失点(最終的に3-3に追い付いた)した。そうした部分は日本代表のスタッフも情報を得ているはずだ。

 相手との噛み合わせはシステムを考える上で非常に重要だが、「相手をリスペクトはしても恐れることなく自分たちのスタイルを続ける」とザッケローニ監督が語る日本代表の基本コンセプトに立ち返って、[3-4-3]の特徴を再考してみよう。

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