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“大物食い”の伝統あるクロアチア。W杯開幕戦、ブラジル撃破へ自信「完全に分析した」

text by 長束恭行 photo by Yasuyuki Nagatsuka

評価があまり高くない理由は?

“大物食い”の伝統あるクロアチア。W杯開幕戦、ブラジル撃破へ自信「完全に分析した」
現役引退すると、そのままクラブに残ってユースチーム監督やトップチームのアシスタントを務めた【写真:長束恭行】

 しかしながら、今大会におけるクロアチアの評価が一般的に高くないのは、21世紀に入ってからのW杯の結果や、予選での低調な戦いぶりが大きく影響している。ビリッチを敵視したイゴール・シュティマッツがユーロ2012後に監督に就任すると、形振り構わず前指揮官のカラーを消し続けた。

 改革という名の縁故招集や布陣変更を繰り返してチームは崩壊。プレーオフを前にシュティマッツは解任され、U-21代表監督だったニコ・コヴァチが火中の栗を拾った。実は現役時代に闘将としてチームメイトを鼓舞し続けた彼こそ、クロアチアの「威信」を取り戻す最適任者だったのだ。

 コヴァチは32ヶ国で二番目に若い監督だが、クラレンス・セードルフのような新米指導者ではない。2009年にレッドブル・ザルツブルグで現役引退すると、そのままクラブに残ってユースチーム監督やトップチームのアシスタントを務めた。

 2013年にクロアチアU-21監督に就任するや予選は開幕4連勝。彼が求めるプレースピード重視のコレクティブなサッカーは、A代表監督になっても変わらない。ザルツブルグで学んだ最新メソッドをチームに持ち込み、プレー解析のスペシャリストを外国から招聘した。

「クロアチアといえばこうだ、というプレースタイルを私は作りたい」

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