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ザックが陥った采配の落とし穴。遠藤投入で攻撃が活性化しなかった理由と想定通りの交代策に潜む罠

ギリシャ戦、後半から投入された遠藤保仁。長谷部誠と交代したもので、想定通りとも言える。だが、そこに思わぬ落とし穴があった。遠藤の投入で采配の選択肢は少なくなってしまったのだ。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

想定通りとも言える遠藤の後半投入。

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想定通りだった遠藤の後半投入【写真:Getty Images】

 ギリシャ戦は前半の途中でMFカツラニスが退場し、約55分間に渡って11対10となったが、守備を固めるギリシャを崩し切れずスコアレスドローに終わった。

 その要因に関しては高さのある相手に対してシンプルなクロスに頼り過ぎたこと、前線の動き出しが少なかったことなど様々な意見がある。実際いくつかの要素が複合したと考えられるが、ひとつ残念だったのがボランチを1枚削り、攻撃のカードを増やす選択に踏み切れなかったことだ。

 90分出た山口蛍はボランチの中でも守備の安定感があり、フルタイム計算できる選手として代えの利かない存在だ。もう1人の長谷部も立ち上がりから精力的な動きを見せた。その中でアクシデントながら相手エースのミトログルが長谷部の肘で腰を痛めて負傷交替。さらにカウンターから大迫勇也のポストを受けたところでカツラニスにファウルされ、2枚目のイエローで退場に追い込んだ。

 長谷部はコンディションが完全とは言えない状況で、幅広くハードワークしていたが、ザッケローニ監督は当初のプラン通りかハーフタイムで長谷部を下げ遠藤保仁を投入。後半の45分間を34歳のMFに託した。

 遠藤を後半から投入する采配はここ1年間の親善試合で何度か見せており、日本の攻撃にリズムをもたらしていたことから、メディアやファンからもおおむね好意的な反応だったようだ。

「ボールを前に当てる勇気が足りなかった。ヤットさんが入ってどんどん当てるようにはなりましたけど」と大久保嘉人が語るように、後半からの遠藤の投入そのものは確かに効果的だった。

 ギリシャが1人少なくなってから、前半はロスタイムを合わせて10分ほどあったが、守備の役割をはっきりさせた相手に対して崩しのパスを入れられず、チャンスらしいチャンスがないまま終わっていたからだ。

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