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ザックが陥った采配の落とし穴。遠藤投入で攻撃が活性化しなかった理由と想定通りの交代策に潜む罠

text by 河治良幸 photo by Getty Images

遠藤を入れたことで采配の選択肢は少なくなった

 もし1枚削るとすると交替の候補は山口となる。しかし、仮に1ボランチにした場合、山口こそリスク管理に欠かせない選手であり、前掛かりになる状況で遠藤の1ボランチはザッケローニ監督の頭の中になかっただろう。

 それならそれで遠藤を1つ前に上げてしまう方法もあったが、ほとんど山口と中盤の底に並んだ状態で、起点にはなっても直接バイタルエリアに入ってフィニッシュを狙う場面はほとんど見られなかった。

 見方を変えれば2人のボランチがいたからこそ、左右のサイドバックが同時に上がる場面も作れたわけだが、あまりにサイドに偏ったことでギリシャとしては非常に守りやすかったはずだ。遠藤が入ってしばらくの時間帯で得点できてしまえば理想的だが、そうならなかった場合の勝負所での采配を窮屈にしてしまう。

 その意味では90分の出場を想定できる青山敏弘を山口と共に先発させ、彼らの状態を見ながら必要に応じて遠藤か長谷部を入れる流れにしておいた方が、柔軟にカードを切っていくことができたはず。

 そもそもギリシャに対して、縦パスを積極的に狙う青山の特徴が活きやすいことは戦前の記事でも述べたが、90分の働きを想定できる存在としても有効だったと考えられる。

“チームの心臓”とザッケローニ監督が呼ぶボランチで、4年間を通して築いてきた長谷部&遠藤との信頼関係の強さがこうした起用法につながったと見ているが、基本としては90分を想定した選択をするのがボランチというポジションではないか。

【了】

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