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「フェリポンの顔を持つゲーム」。アグレッシブな姿勢でコロンビアを下したブラジル。その“代償”はネイマールの離脱

text by 下薗昌記 photo by Getty Images

ネイマール不発の試合で勝利。“依存症”は脱却か

 そしてややファウルがかさんだものの、フェルナンジーニョはアンカー的なポジションでコロンビアの背番号10に「肉弾戦」を挑むのだが、守備面だけでなく、攻撃時には的確な散らしも見せるなど攻守において頼れるリーダーシップを全身からにじみださせていた。

「悩めるキャプテン」チアゴ・シウバの得点で波に乗ったブラジルは、再三コロンビアゴールに迫るも肝心のフィニッシュの精度が低く、ハーフタイムを1対0で折り返す。

 それにしても、スコラーリ監督らしいこの日の戦いぶりだった。ファウル数はブラジルの31に対してコロンビアは23。主審が危険なプレーに対して前半から線引きをきっちりとしなかったことが、終了間際のネイマールの負傷交代の呼び水となっていた。

 ネイマール依存症がしばしば指摘されるブラジルではあるものの、この日のチームパフォマンスは過去4試合と比較しても最高のもの。

 皮肉にもエースが最も輝きを放たなかった大一番で、チアゴ・シウバとダビド・ルイスがそれぞれセットプレーから得点を決めるなどブラジル代表は手堅くベスト4に勝ち上がった。

 ネイマールが無得点の試合では今大会勝ちから見放されている王国だが、この日はCBが2得点。フッキのシュート精度は未だに課題を残すものの、ルイス・グスタボと異なりパスの散らしにも秀でるフェルナンジーニョの存在もあって、ブラジルは前半から攻撃の形を見出し始めていた。

 前半はほぼ一方的に試合を運んだブラジルに対して、コロンビアは後半、ボール支配において主導権を握り返す。24分にダビド・ルイスの直接FKがネットに突き刺さり、勝負あったかに見えた準々決勝だったがコロンビアの若き背番号10は健在だった。

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