ブラジルW杯から読み解く戦術の潮流。オランダ対メキシコ戦で見えたハンドボール化する未来型サッカー

W杯は、様々なスタイルのサッカーがぶつかり合う、いわば見本市的な大会だ。ブラジル大会でも、チリ、メキシコなどが興味深いサッカーを展開している。2014年W杯を通して、現代サッカーの戦術的潮流を探った

2014年07月20日(Sun)11時26分配信

text by 西部謙司 photo Getty Images
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ハンドボールに近い未来型サッカー

 未来のサッカーとは、どんなサッカーなのか。

 その問いに対する答えは20年ぐらい前から一貫していて、おそらくハンドボールに近いものだろうと思っている。

 ブラジルW杯で、ハンドボール化したサッカーに近い試合があった。決勝ラウンドの緒戦、オランダ対メキシコである。

 試合の印象をひとことで表せば「膠着」。どちらも丁寧にパスをつなぎながら、虎視眈々と一瞬の隙を狙う展開だった。

 メキシコがドス・サントスのミドルシュートで先制したが、終盤にCKのこぼれ球をスナイデルが叩き込んで同点、フンテラールのPKでオランダが劇的な逆転勝ちを収めている。

 このゲームのどこが未来のサッカーで、ハンドボール的なのか。

 手を使う球技でサッカーに近いのがバスケットボールとハンドボールだ。とくにハンドボールはGKの存在や四角形のゴールという共通項がある。

 ハンドボールに比べると、サッカーは戦術面で劣る。競技が違うのだから、本来優劣はないのだが、手を使える球技には攻撃面でのミスがない点でサッカーの先を行っていると考えている。

 ハンドボールでは、いったんボールをキープされたが最後、それを奪い返すのはほぼ不可能だ。そのため、相手がボールを持ったら守備側は引いて守備ブロックを作り、相手をシュートレンジに入れないように守る。

 秒殺のカウンターアタックでなければ、引いた相手に対してパスを回しながら一瞬の隙をうかがう攻撃になる。速攻と遅攻のコントラストが非常に明確で、その中間がないのがサッカーとの大きな違いだ。

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