東京五輪を睨んだ選出
ある意味、今回のW杯で最も濃密な時間を過ごしたのは彼らかもしれない。杉森考起と坂井大将。日本代表のトレーニングパートナーとして選ばれた彼らは、決してピッチに立つことのできない立場ではあったが、わずか17歳にしてサッカー選手なら誰もが憧れる舞台の空気、緊張感、そして代表選手が背負うものの重さを間接的にでも感じることができた。その経験は23人のどの選手たちよりも価値あるものだったかもしれない。
二人は1997年生まれで、昨年はU-17W杯で日の丸を背負った経験もある若手有望株。二人ともすでに所属クラブではトップチームに加わっている。このまま順調に成長していけば2020年東京五輪の代表メンバーに入ることも期待されている。
当然、今回サポートメンバーとしてこの二人が選ばれた背景には、地元開催の五輪に向けた強化という側面がある。
将来性のある数多くの選手たちの中から選ばれたのは、ともにユーティリティ性の高い選手だったからだ。日本サッカー協会の原博実専務理事は「監督はスペシャリストでは
なく、いくつかのポジションができる人材をリクエストしていた」とその理由を説明している。
両者ともすでにトップチームでプレーしていたことも、選出の判断を後押しした。当初は5月21日の指宿合宿から大会直前に暑熱対策を兼ねて行う米国合宿まで参加して帰国する予定だったが、最終的にはW杯にも帯同することになった。