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Jリーグ 10年前

退場者を出し3戦ぶりの敗戦も、自分たちの持ち味を貫いた川崎。CB含め全員が徹底した地上戦を挑み、活路を見出す

試合開始直後にPKから失点し、前半のうちに退場者も出した川崎フロンターレ。しかし、劣勢に動じることなくチャンスも作った。ロングボールをほとんど蹴らず細かいパスを繋いでゴールを目指し、一人少ない中でも互角の勝負を演じた。

text by 青木務 photo by Getty Images

何度も相手のプレスを外したダブルボランチ

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中村と共に相手のプレスをことごとく剥がした大島僚太【写真:Getty Images】

 敗戦の悔しさはあった。しかし、絶望は感じていない。横浜F・マリノスに0-2で敗れた川崎フロンターレだったが、自分たちの追求するサッカーは随所に示した。

 前半2分、DF登里享平がハンドの判定を受けてPKを献上。これをFWラフィーニャに決められ、早々にビハインドを背負った。

 勢いに乗るマリノスは、たたみ掛けるように激しくプレスをかける。ラフィーニャを先頭に前から奪いに行き、川崎のバックパスを読んだMF中村俊輔がボールをかっさらってチャンスを作りかけた。

 失点の直後でやや浮き足立ったようにも見えたが、川崎はすぐに立ち直ると、相手に構わずビルドアップを開始した。

 チームの誇るダブルボランチ、MF中村憲剛とMF大島僚太は少しでも相手のマークから離れるとパスを要求。二人のパス交換を起点にボールを運んだ。

 前半35分に登里享平が2枚目の警告を受け、10人での戦いを強いられた川崎だが、戦い方は変えなかった。中村が言う。

「後ろからしっかり繋いでチャレンジしていくということを10人でもやる。あれで後ろから蹴ったら相手のペースになってしまうから、しっかりやり切る。取られても何回もやる。それで今までやってきているし、チャンスも作れている」

 マリノスにはDF中澤佑二、DF栗原勇蔵という長身のセンターバックがおり、単純なロングボールでは跳ね返されてしまう。

 地上戦を貫いたが、ダブルボランチへのマークは変わらず激しかった。しかし、それも乗り越えていかなければならない。

「誰でもいなせないとダメだというのは僚太とも話している。俺らのところを取りにくるということは、そこを抜ければチャンスになるということ。後半は僚太との絡みで抜け出ることが多かった」と中村は振り返った。

 実際に、彼らのパス交換からチャンスを作る場面もあり、その表情は決して明るくはなかったが手応えを感じている様子だった。

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