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Jリーグ 10年前

アギーレジャパンに招集された皆川、されなかった宇佐美。日本の未来を担うストライカー対決の行方は?

text by 青木務 photo by Asuka Kudo / Football Channel

宇佐美の覚醒がガンバに勝利をもたらす

アギーレジャパンに招集された皆川、されなかった宇佐美。日本の未来を担うストライカー対決の行方は?
ガンバ大阪・宇佐美貴史【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 この男の名前が日本代表のリストになかったことに、驚いた人も多かったのではないか。ガンバで得点を量産し続ける宇佐美貴史が、アギージャパンの初陣に呼ばれることはなかった。

 コンスタントに得点を挙げ、ストライカーとして覚醒しようとしている宇佐美に対する周囲の期待は大きい。そして、その期待に応えるだけの結果を叩き出してもいる。前節も得点こそ挙げられなかったが、クロスバー直撃のシュートを放つなどキレのある動きを見せた。

 ただ日本代表の2試合を見ると、ボールを持たない時の仕事量は多い。特に3トップの左右の選手は、守備時には自陣深くまで戻って守備に参加している。

 だが、インサイドハーフやサイドバックとの連携がもっと深まれば、自陣深くまで下がる機会は少なくなるようにも思う。それでも前線の選手が守備に戻るのは当たり前で、味方のためにスペースを作るのも然り。それらをこなしつつ、自分の持ち味を出せなければならない。攻撃でスペクタクルなプレーを連発するだけでは、アギーレ監督から声はかからない。

 巧みなドリブル、強烈で精確なシュート、周囲にゴールをもたらすラストパスなど、宇佐美はボールを持った時のプレーが注目される。

 それ以外の部分はどうか。これだけ鮮烈な活躍を見せながら代表に選出されなかったということは、もっと伸ばすべき点があるということだろう。

 宇佐美が入りそうな3トップの左は、武藤嘉紀、柿谷曜一朗、岡崎慎司が試され、今回は怪我で招集されなかった香川真司や原口元気もポジション争いに加わってくる。顔ぶれだけを見ても相当な激戦区で、これを勝ち抜かなければならない。

 アギーレ監督の目に留まるには、まずクラブでの活躍が不可欠。ガンバには完璧なパスを出せる遠藤保仁がいて、パトリックは確実にボールを収めてくれる。宇佐美にとって、攻撃で力を発揮する上で最適な環境だが、それに胡座をかいていてはいけない。味方からのお膳立てを得点に結びつけるのは最低限の仕事であり、チームのために汗をかく姿をもっと見たい。最後尾まで全力で戻り、泥臭く相手からボールを奪い取る。そんなシーンが増えれば宇佐美の価値は更に上昇する。

 そして、それは自身の代表入りを後押しするだけでなく、ガンバの勝利にも繋がっていくはずだ。

【了】

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