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日本代表 10年前

U-19日本代表、4大会連続アジア敗退で示された育成の課題。勝つため、点を取るための「イメージの共有」

text by 河治良幸 photo by Getty Images

役割とサポート関係が明確だった開催国ミャンマー

 熱狂的な歓声の中で行われた第2試合はミャンマーが個の能力で大きく勝るカタールを相手に奮闘し、筆者が取材して来た代表戦の中でもベストゲームの1つとなった。ミャンマーは5バックをベースに全員で守り、ボールを奪えば2トップに当てて、両サイドバックが猛然と駆け上がった。

 目に付いたのは、闇雲に頑張るのではなく、チームとしての役割とサポート関係がしっかりしていたことだ。

 2トップはイラン代表で一世を風靡したダエイとアジジを連想させる凸凹のコンビで、長身のサン・パインが相手のマークを引き付けると、その手前でボールを持った小兵のアウン・スが果敢に仕掛け、それを周囲の選手たちが精力的にフォローアップした。

 カタールの屈強な守備陣に何度も跳ね返されながら、ここを破ればビッグチャンスになるという意識が強く感じる仕掛けで挑み続ける。しかし、前半ロスタイムにカタールがCKからエースのモーズのダイビングヘッドで先制。一瞬スタンドが静まり返ったが、ファンがすぐに歓声をあげ、拍手で選手を後押しした。

 後半17分にミャンマーが決めた同点ゴールはまさに彼らの攻撃が見事にかみ合ったスペクタクルな形から生まれた。

 左のヤン・ナインウーが相手の守備を引き付け、中盤に戻したところからアウン・スにパスが出ると、サン・パインが相手ブロックを引き付けたところかから、アウン・スの右足のインフロントで巻いたボールがゴール右隅に吸い込まれたのだ。

 スタンドの大歓声が鳴り止まない中、速攻から獲得したCKが逆転ゴールをもたらす。

 カタールは後半途中から投入されたセビージャのフニベルA(U-19)に所属する10番のアクラム・アフィフを中心に攻勢を強め、トップ下のアブドゥラーとアフィフの創造的なパスから何度もゴールを奪いかけるが、ミャンマーの粘り強い守備をあと一歩で破れない状況が続いた。

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