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日本代表 10年前

U-19日本代表、4大会連続アジア敗退で示された育成の課題。勝つため、点を取るための「イメージの共有」

text by 河治良幸 photo by Getty Images

日本の課題を「メンタルの弱さ」とするのはナンセンス

 北朝鮮を相手にPK戦で涙を飲んだ日本がここに来る資質が無かったとは思わない。PK戦というのは試合の勝敗ではなく、先のステージに進むチームを決めるための、あくまでトーナメント限定の大会ルールなのだ。

 しかし、それでも勝ち取らなければいけないのが今大会のベスト4で、ここで世界を逃した事実は日本サッカーに大きな陰を落とすことになるだろう。

 U-19日本代表の鈴木政一監督は北朝鮮戦のあとに「ゲームの内容的には良くても最終的には勝ちきれなかったと言うのが今回の大会じゃなかったかなと思います」と振り返った。

 北朝鮮戦で自分たちの形で何度かの惜しいチャンスは作ったが、そこで決めきれなかったという理屈は間違っていないだろう。ただ、決定力の問題というのは今に始まったことでも、このチームだけの問題でもない。当然、伸ばしていくべき分野だが、もっと前提にある問題を見落としているのではないか。

 ベトナム戦で苦しみながら最後の最後に勝ち越しゴールを決め、積年のライバルである韓国を2-1で破った日本の選手たちを捕まえて、単純に「勝負弱い」「メンタルが弱い」というレッテルを貼るのはナンセンスだ。

 いかなる状況に置かれても、なりふり構わない戦い方はせず、自分たちの基本スタイルを崩さないのが今回のU-19日本代表だった。しかし、その戦い方で北朝鮮の堅い守備を上回れなかったし、ここで決めていればという得点チャンスは確かに何度かあったが、守備的なチームを相手に畳み掛ける攻撃ができなかった。

 このチームはまだザッケローニ前監督がA代表を率いていた時にベースを作っており、これからアジア予選を迎えるU-21代表とは違い、ポゼッションをベースとしたコンビネーションで崩すスタイルと高い位置からのプレッシングを突き詰めており、アギーレ監督が就任してからも根本的な方向性は変わっていない。

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