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日本代表 9年前

遠藤、香川、長谷部の“イメージの共有”。イラク戦で高い機能性を発揮した中盤のトライアングル

text by 河治良幸 photo by Getty Images

中盤の補完関係が生んだ本田のPK

遠藤、香川、長谷部の“イメージの共有”。イラク戦で高い機能性を発揮した中盤のトライアングル
ファウルを受けた形でPKを獲得した本田圭佑【写真:Getty Images】

 前半22分の結果的にPKにつながった場面は、3人の役割がうまく表れていた。中盤のルーズボールを制した本田が、ヘッドで落としたボールを香川が受け、ショートパスを受けた長谷部が岡崎にクサビのパスを入れると、フォローした本田がつなぎ、乾が中に仕掛けて追い越す長友に通そうとしたスルーパスが相手にブロックされた。

 しかし、こぼれ球を遠藤がうまく拾い、本田、乾とのトライアングルでゴール左を崩したところから、乾のショートクロスに香川が合わせ、GKが阻止したリバウンドを本田がキープに行ったところで2人のDFに挟まれ、ファウルを受けた形でPKを獲得した。

 この場面は中盤の3人に本田や乾など、周囲の選手が絡むことで厚みのある攻撃を生み出したが、中盤の底でさりげなくビルドアップを機能させた長谷部と、セカンドを拾って二次攻撃につなげた遠藤の柔軟性に、香川の機動力が絡むという、中盤の補完関係が引き立つシーンでもあった。

「攻撃のリズムがよくなった。ワンタッチ、ツータッチの効果的なプレーもできていた」とアギーレ監督が振り返る攻撃では、ワイドの選手をうまく使いながら相手のチャージをかわし、香川と遠藤が柔軟にポジションをチェンジしながら複数の選択肢を得ることで、左サイドからのチャンスメークや3トップの飛び出しに結び付けていた。

 アンカーの長谷部はイラクの前からの守備が厳しくなかったこともあり、深い位置ではDFラインより前に出てボールをさばき、高い位置では森重と吉田の間に入ってパスコースの確保と攻守のバランスを取るといった柔軟なポジショニングで全体をオーガナイズしながら、流れに応じて遠藤と香川に絡む形はこれまでで最も良く機能していた。

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