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香川真司 9年前

チームを蘇らせた「出し手」としての献身性。それでも――。香川が追求するフットボーラーとしてのプライド

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「自分も負けたくない」。香川の得点力が更なる高みへ

 前述のコメントに続いて香川はこう話している。

「その中で、どうやって自分でフィニッシュに持っていくかという意味で、もっともっと絡んで行かなきゃいけないですし、今は辛抱してやり続けていきたいと思います」

「その中で、どうやって自分でフィニッシュに持っていくか」ということは、献身的な役割を担う中で、どのようにゴールを奪っていくか、ということである。

 それは試合の中でどのように「出し手」の自分と「受け手」の自分を切り替えていくか、ということでもあるだろう。「出し手」から「受け手」に切り替えるということは、求められる献身性をある程度犠牲にする、ということだ。

 オーバメヤンのようにフィニッシャーに徹しきれるのならいざ知らず、ドルトムントの攻撃を成立させるための重要な役割を果たしながら、自らも得点を叩き出していくことは簡単ではない。チームバランスを考えながら、どこかでそこを打ち破って、ゴールという結果を出す。香川は難しい作業に取り組んでいる。

 新たなゴールが生まれなくとも、チームとしては香川を含めて上手く回っている現状に問題はない。しかし香川は「結果を求めている」と言う。オーバメヤン、ロイス、ミキタリヤンが結果を出したことに対して、「自分も負けたくない」、と。それは香川のフットボーラーとしての矜持とも言えるのかもしれない。

 確実なのは、もし香川“も”ゴールを奪い始めたら、ドルトムントの攻撃は手が付けられなくなる、ということだ。

【了】

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