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日本代表 9年前

無念の準優勝も、宮間あやが涙をこらえた理由。主将が背負う女子サッカーの未来

text by 藤江直人 photo by Getty Images

宮間あやが4年間で得たもの

 もちろん、アメリカに完敗したからといって、五輪を含めた世界大会で3度も続けて決勝戦に進んだ軌跡が色褪せることはない。特に今大会は追われる立場に変わり、相手のマークも厳しくなった。前哨戦となる3月のアルガルベカップで9位に沈むなど、チーム状態も芳しくはなかった。

 連覇どころか、決勝トーナメント早々に姿を消すのではないか。こんな声すらも聞かれるなど、まさにどん底からはい上がり、グループリーグから6試合すべてを1点差で勝ち上がってきた。

W杯史上で初めてとなる過程で見せた粘り強さと一体感、試合ごとにヒロインが飛び出す劇的な展開、何よりも大差をつけられても最後まであきらめなかった戦う姿勢は、必ずや未来を担う少女たちに勇気と感動、そして大きな夢を与えたはずだ。

 フラッシュインタビューの最後。インタビュアーから「この4年間で手にしたものは何でしょうか」と問われた宮間は、笑顔を浮かべながらこう答えている。

「最高の仲間たちだと思います」

 試合後の挨拶を終えた宮間は真っ先にベンチへ向かい、泣きじゃくる岩清水や出番のなかった選手たちを一人ひとり抱きしめた。最高の仲間たちとの別れは、新たな勝負の幕開けでもある。なでしこジャパンは今日(7日)に帰国するが、12日からは早くもなでしこリーグが再開される。

 女子サッカー界の未来を背負いながら、宮間をはじめとするなでしこたちはほとんど休む間もなく走り続ける。

【了】

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