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日本代表 9年前

無念の準優勝も、宮間あやが涙をこらえた理由。主将が背負う女子サッカーの未来

text by 藤江直人 photo by Getty Images

なでしこジャパンが背負うもの

無念の準優勝も、宮間あやが涙をこらえた理由。主将が背負う女子サッカーの未来
目指した頂点には立てなかった。それでも、挑戦が終わることはない【写真:Getty Images】

 実際になでしこが世界一を勝ち取ったときに、野田氏は宮間が言わんとした真意がよくわかったという。

「2004年のユーロで初優勝したギリシャじゃないですけど、一回だけ勝って大騒ぎすればそれでいいのかと言えば、やはり違いますよね。いろいろなことを抜本的に強化していって、一回だけではなく、継続していかなければ意味がない。宮間はそういう意味で言ったんだと思います」

 実際、宮間はアメリカ戦の前日の現地時間4日に行われた会見で、こんな言葉を残している。

「この大会で結果を出すことがこれから先、女子サッカーを背負っていく選手たち、サッカーを始めよう思う少女たちに対して残せること。そこ(優勝の表彰台)に立ってからこそ、女子サッカーがブームではなく文化になっていくスタートが切れると思っている」

 黎明期を必死に駆け抜けた先輩たち。1990年代に訪れた最初のブームを支えた、野田氏をはじめとするレジェンドたち。そして、4年前に凱旋帰国したひな壇で、女子サッカー部をもつ中学校が全国で625校(2010年調査)しかない状態の改革を何よりも訴えた澤。先輩たちが必死につなぎ、その都度、熱い思いを託してきたバトンを宮間また受け取っていた。

 目指した頂点には立てなかった。それでも、挑戦が終わることはない。来年7月にはリオデジャネイロ五輪が開催され、早ければ来年1月にアジア予選が開催される。アジアの枠はわずか「2」しかない。オーストラリア、中国、韓国、今大会は出場停止だった北朝鮮と強敵が揃うからこそ、なでしこには立ち止まっている時間はない。宮間が必死に涙をこらえた理由は、ここにあるのではないだろうか。

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