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日本代表 9年前

ハリルJの想定内と想定外。東ア杯で見えた指揮官の狙いと問題点

text by 河治良幸 photo by Getty Images

対戦相手に応じた戦い方を選択できるハリルホジッチ

ハリルJの想定内と想定外。東ア杯で見えた指揮官の狙いと問題点
アンカーの位置で守備に徹した藤田直之【写真:Getty Images】

 そして中2日で迎えた韓国戦、結果に対する多大なプレッシャーがかかる中でハリルホジッチ監督は[4-3-3](守備時の低い位置では[4-1-4-1])というシステムを選択した。実際には[4-1-4-1]の形になる時間が長かったが、どん引きのプランを指示していたわけではない。

 遠藤航は「ブロックを作る場所も3つぐらい設けて、いけるところといけないところは自分たちで判断しろ、というところは北朝鮮戦の反省から言っていました」と語る。

 その3つとは分かりやすく表現すれば高い位置、中間の位置、低い位置だが、キム・シンウクというやはり規格外の長身FWをケアするために、藤田直之を固定的なアンカーに置き、2人のCBで挟み込む形を取っていたために、特に前半に関しては高い位置でボールを奪う形はなかなか取りにくかった。

 さらにジュ・セジョンというトップ下の選手が意識的にキム・シンウクを追い越す動きをしていたため、前半途中のボールが切れたところでハリルホジッチ監督は藤田をライン際に呼び寄せアドバイスを伝えていた。そこから藤田はマンツーマン気味にそのシャドーストライカーをチェックしており、実際にそこから彼が目立つシーンはほとんど無かった。

 ただ、そうしたディフェンスが主体になると、ボールを奪う位置も攻撃のスタート位置も低くなるものだ。これまでよりポゼッションが増えたというのは90分を見越してのペース配分も確かにあるが、攻撃の距離が長くなる分、ワイドに散らして全体を押し上げる時間を稼ぐ意味合いも強い。

 やはりどちらかと言えば、前半の終わりから後半途中にかけて、高い位置でボールを奪いに行き、そこから速攻を使った時の方が、チャンスが生まれていた様に、ここまで目指してきたスタイルを実現する時間が最も得点が生まれやすい時間であることは確かだ。

 ただ、対戦相手の特徴も含め試合ごとに、もっと言えば90分の中でも複数のプランからその時に最適だと判断した戦い方を選択していくのがハリルホジッチであり、それによりシステムや選手の起用も変わってくる。

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