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日本代表 9年前

ハリルJの想定内と想定外。東ア杯で見えた指揮官の狙いと問題点

日本代表は5日の韓国代表戦で1-1の引き分けに終わわり、大会参加4チームのうち唯一大会優勝の可能性がなくなった。チーム作りの段位において、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっては“想定外”の事態に迫られていたこともあったのかもしれない。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ハリルホジッチ監督の就任会見の言葉

ハリルJの想定内と想定外。東ア杯で見えた指揮官の狙いと問題点
日本代表の就任会見時のハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 ハリルホジッチという指導者に関して、やはり多くの記者や評論家に認識のズレがあるのではないかと改めて思っている。筆者もこれまで彼が率いた全てのチームや試合を観たわけではないが、もともといくつかの戦い方を選択できる監督ということは分かる。

 例えば、アルジェリア代表を率いたブラジルW杯のドイツ戦は120分間に渡りハードワークしていたため、プレッシングと縦に速いサッカーをひたすらしていた印象が残っている人もいるかもしれないが、実際は自陣にブロックを引く時間もあれば、ポゼッションでワイドに展開している時間もあった。

 基本的には高い位置から守備をし、ボールを速く動かし、効率よくゴールを狙う志向が高い監督であるのは確かだが、それもあくまで勝利の可能性を高めるためのベースに過ぎない。もともとプラグマティック(=実利的)な思考の強い監督なのだ。

 就任会見の言葉を今一度思い出してほしい。

「私のこのノートは、これからやるべきことがたくさん書いてある。詳細は言えないが、いくつかの点を伸ばしていきたい」

「なぜかというとテクニックを持った本当に良い選手がいるからだ。あまり多くのことはできないが、出来る選手もいる。みなボールを欲しがる。もっといいプレーができることを教えていきたい」

「引いてきた相手に対しても、そうでない相手にしても、どんなスピードで戦えばいいのか、速い攻撃だけが全てでではない。ポジショニング、リズムの変化、動きのフェイント、そういったことを教えていきたい」

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