フットボールチャンネル

Jリーグ 8年前

磐田・名波浩監督の意図ある“主力外し”。青年監督率いるサックスブルーの成長曲線

text by 青木務 photo by Getty Images

蘇ったゲームキャプテン・上田康太

大宮戦から本来のパフォーマンスを見せ始めた上田康太
大宮戦から本来のパフォーマンスを見せ始めた上田康太【写真:Getty Images】

 磐田の背番号7を背負い、現役時代の名波監督と比較されることもあるゲームキャプテンは、J1の舞台で満足のいくプレーを見せられていなかった。左足のキックはチーム随一で、気の利く動きで味方を助けることができるレフティーだが、開幕戦からトップフォームからかけ離れたプレーに終始していた。

 球際の激しさや深さ、素早い攻守の切り替えに対応しきれず、不用意なボールロストやパスミスが重なった。中盤からの適切な配球でチームを動かす役割を担う上田が流れを断ち切ってしまうシーンは一度や二度ではなかった。

 そして、福岡戦である。森下はコンディションを考慮してのものだったが、上田はなかなか上向かないパフォーマンスが理由のベンチ外だった。だが、この日を境に背番号7は少しずつ真価を発揮し始める。

「とにかく前向きに思い切ってプレーしよう。まずは一対一のバトルで負けないとか、最低限のところを強くやろうと。そこから自分の良さを出していこう」

 仲間たちが戦う姿を見た上田からは迷いが消え、プレーに勢いが出てきた。そして、5節の大宮戦。2011年から約3シーズン在籍した古巣との対決とあって、上田の気持ちは高揚していた。

 激しいチャージでイエローカードを受けたが、これまでの試合では消極性も散見されただけに、このファウルは彼の中にある熱い一面を感じさせるものになった。また、高い位置でゲームメイクを担い、攻撃の起点になった。「開幕から今までのことを考えると、やっと普通にできたかなという感じはします」と安堵の笑みを浮かべた上田。しかし、そこは頼れるゲームキャプテン。すぐに顔を引き締め、課題に言及した。

「もっとやらないといけない。失点のところも一瞬のスキだったし、自分たちで改善できると感じている。一つひとつ勝っていくためにチームとして、個人として厳しさを求めてやっていきたい」

1 2 3 4 5 6

KANZENからのお知らせ

scroll top