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香川真司 8年前

ドルト快勝に隠された意味。香川も誓った主将へのサポート。容赦ない罵声もチームは一丸

ヴォルフスブルクを迎えた一戦で、ドルトムントは5-1と快勝した。先発した香川真司は1G1Aと躍動、勝利に貢献したが、この試合の注目は主将フンメルスだった。移籍希望を公表した主将には容赦ないブーイングが浴びせられた。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

フンメルスに浴びせられた容赦ないブーイング

マッツ・フンメルス
「なぜ?」と主将退団に不満を示すサポーター【写真:Getty Images】

 マッツのために戦う。ボルシア・ドルトムントの選手たちは試合が始まる前に円陣を組んだ。2016年4月30日のブンデスリーガ第32節、2位のドルトムントはホームに10位のヴォルフスブルクを迎える。

「バイエルンに移籍したい」

 28日にクラブ公式HPで公表されたマッツ・フンメルスの希望は、ファンからすれば許されることではなかった。試合が始まると、フンメルスがボールを持つ度にブーイングが鳴り響く。スタンドの誰もが指笛を鳴らしたわけではなかったが、主将に対する非難は明らかだった。よりによってマッツは宿敵に移りたがっている。

 もちろんこうした状況は、ある程度予想出来たことでもある。

 香川真司は言う。

「一番辛いのは彼自身だと思うので、だからこそこういうときは僕たちが、理解を示してサポートをしていかなきゃいけない」

 よりレベルが高く、よりタイトルに近い環境を望むことは、プロとして当然のことだ。サッカー選手としての人生は有限で、長くはない。だからこそ、背信とも取られかねない決断を下さなくてはならない時もある。世界を同じく生きる者として、香川も含めたドルトムントの選手たちは、決意を胸に秘めたのだ。

 マッツのために――。

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