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Jリーグ 8年前

磐田・名波監督が断じた「くだらない失点」。芽生えてきた自負。強敵相手に得た収穫と課題

text by 青木務 photo by Getty Images

サイドの数的優位が生んだ中の数的不利

「僕がアデミウソンにもうちょっと厳しく行けた。パトリックが『スルー』と言っていたからその声に反応してしまい遅れた。後ろのナギ(櫻内)とかに任せて僕はアデミウソンだけ見ていれば防げた失点。そこは僕個人の問題」

 試合後、このシーンを大井はこう述べた。確かに1失点目はフィニッシュのところでアデミウソンの個の力が際立った。しかし、問題はそこに至るまでの過程だ。失点の責任を背負い込む背番号3だが、サイドを打開されたことについてはこう話す。

「(アデミウソンにボールが入るまでのところで)宇佐美に2人行っていて、その間を簡単にポンと通されていた。コースを締めて後ろにドリブルさせたりとか、そういう細かいところが甘かったのかなと思う」

 これには宮崎も「1人、2人に対して(磐田は)4人くらい行ってしまった。人数をかけるなら中に入って来られない状況を作らなければいけなかった」と反省点を口にしている。

 サイドで数的優位の状態を作りながら人が“いるだけ”になっており、パスコースの限定は疎かになっていた。さらに言えば顔を出してきた遠藤にも寄せられず、局面の攻防で相手に先手を取られている。

 もう少し時間を巻き戻せば、最初に森下俊がクリアできなかったのも一因で、自身も「しっかり蹴っておけば問題なかった。ゲームを崩してしまった」と苦い表情を浮かべた。

 そして、逆転を許した66分は集中力もコミュニケーションも欠いた。G大阪の米倉恒貴のフィードを大井と競ったパトリックが頭ですらすと、文字通りどフリーの遠藤に落ち着いてゴールへ流し込まれた。3バックの左右でプレーする櫻内と森下のちょうど間に入ってきた遠藤に対し、2人は譲り合う形でどちらもマークにつくことができなかった。

 屈強な体躯と高さを備えるパトリックをシンプルに使うのもG大阪の武器の一つだ。空中戦でパトリックを止められなかったとしても、走り込んでくる選手を捕まえるのは守備者として当然の仕事だ。やるべきことができなければ、今後も失点は増え続けるだろう。

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