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日本代表 8年前

【西部の目】アジアでも射程距離に置かれた日本。UAEはアウェイでも強気に。裏目に出た選手起用

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ダイナミズム注入もさほど効果なし

 リードされた後、日本の交代はまず清武→宇佐美。これは予定どおりだったと思う。清武のコンディションもあり、宇佐美のドリブルと決定力が生きる時間帯でもあった。疑問なのは2枚目のカードがなぜ岡崎→浅野だったのか。

 日本のホームにもかかわらず、UAEは意外なほど強気な入り方をしていた。とくに守備を固めることもなく、2人のFWを使い、別格のプレーメーカーながら守備では穴になる可能性のあるオマル・アブドゥルラフマンを右MFに置いた。しかし、リードしてからはオマルをトップ下に上げて守備固めに入っている。つまり、UAEのラインは下がってスペースはさほど空かない。その段階でスピードが武器の浅野を投入した。

 浅野は裏のスペースをついてチャンスを作っていたし、同点ゴールだったはずのシュートも放った。裏のスペースがあるうちに攻め込む意図があったのだろう。しかし、試合の流れからいって回数は限られてくる。さらに引かれたときの切り札であるはずの大島に代えて原口。浅野と原口の登場で攻撃はダイナミックになったがアイデアはなくなった。

 ユーロで表れていたように、どうやらアジアでもボールを保持する側の優位性は減少傾向にあるようだ。日本には多くの決定機があったが、結局流れの中で得点は奪えていない。コンビネーションで押し切るなら、大島と小林を組ませたほうが効果的だったのではないか。

 今後もあえてパスワークで押し切るのか、それとも違うオプションを探すのか。ゴール前に強さを求めるなら、このメンバーでは本田しかいない。あとは、わざと相手にボールを持たせてカウンターを狙う方法もあるが、それだけ守備力に自信を持てるかどうか。いずれにしても、次のタイ戦までに何か手を打つはずである。

(文:西部謙司)

【了】

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