フットボールチャンネル

100分の激闘。小林悠の劇的決勝弾でダービー制した川崎F、CS出場権獲得

text by 編集部 photo by Dan Orlowitz

こばやしゆう
小林悠が後半アディショナルタイム10分に劇的決勝弾【写真:ダン・オロウィッツ】

【川崎フロンターレ 3-2 横浜F・マリノス J1 2ndステージ第13節】

 明治安田生命J1リーグ2ndステージ第13節が25日に行われ、ともにステージ優勝の可能性を残す川崎フロンターレと横浜F・マリノスが対戦した。

 ステージ首位の浦和レッズに話されないために負けられない川崎Fは、大久保とエドゥアルド・ネットの2人を欠いて神奈川ダービーに臨む。最前線は小林が務め、2列目に狩野と三好が先発出場。中村憲剛が普段のトップ下ではなく大島とボランチでコンビを組む。

 一方の横浜FMはミッドウィークの天皇杯で戦列復帰しフリーキックも決めていた中村俊輔をベンチからも外した。4-2-3-1をベースにトップ下を兵藤が担い、パク・ジョンスと中町のコンビで川崎Fの攻撃陣に対峙する。

 序盤から積極的に出るホームの川崎Fは、大久保やエドゥアルド・ネットの不在を感じさせない戦いを見せる。そして14分、右サイドで細かいパスをつないでリズムを作ると、小林のクロスに狩野が頭で合わせて先制点を奪った。

 1stステージ第3節以来の先発出場となった狩野は、待望の今季リーグ戦初ゴール。2ndステージも第2節以来11試合ぶりの出場で、古巣相手に会心の一発を叩き込んだ。

 先制された横浜FMだが、攻撃は齋藤とマルティノスの両ウィングが見せるドリブル突破が頼みでなかなか打開策を見つけられない。前半はシュート0本に抑えられてしまった。

 後半開始直後は横浜FMがシュートを放つなど一瞬流れを掴みかけたが、川崎Fが巧みな操舵で主導権を渡さない。三好や狩野、小林が相手ボランチと最終ラインの間のスペースでボールを受けてテンポよくチャンスを作り、横浜FMディフェンスを慌てさせた。

 そんな川崎Fにアクシデントが襲う。後半開始から5分ほど経ったところで味方と衝突して頭にダメージを負っていた新井がプレー続行不可能となり、69分に高木との交代を余儀なくされる。チョン・ソンリョンの負傷でチャンスを得たが、まさかの形でピッチを去り、高木がJ1デビューを果たした。

 次のビッグチャンスは川崎Fに生まれる。75分、ピッチ中央でボールを奪った中村憲剛から小林悠に展開し、右サイドを駆け上がったエウシーニョに託す。そこから再び折り返しに小林悠がシュートを放つ。しかし、枠を捉えたボールはギリギリのところで小林祐三に掻き出されてしまった。

 そして84分、待望の追加点が決まる。左サイドで車屋が相手のパスをカットし、選手交代によってポジションを2列目に移していた田坂がすぐさま前線へスルーパスを入れる。そのボールを栗原との駆け引きを制した19歳の三好が完璧な形で受け、ループシュートを流し込んだ。

 勝利を確信した川崎Fだったがドラマは新井の負傷などで生じた9分間のアディショナルタイムにあった。96分、こぼれ球に詰めた中町がゴールを奪って横浜FMが1点差に迫る。そして98分、今度は懸命に走り続けていた伊藤翔がゴールネットを揺らして同点に追いついた。

 これで試合は終了かと誰もが思ったところ、ピッチ上の選手達は諦めていなかった。100分、左サイドから田坂がクロスを上げると、中央で小林悠がヘディングシュート。このボールは榎本が守るゴールに吸い込まれ、等々力競技場が爆発した。

 あまりにも劇的な形で勝利を収めた川崎Fは、他会場でサンフレッチェ広島が敗れ、ガンバ大阪が引き分けたためチャンピオンシップ出場権を獲得。忘れられない“等々力劇場”で悲願のタイトルに一歩前進だ。

【得点者】
14分 1-0 狩野健太(川崎F)
84分 2-0 三好康児(川崎F)
90+6分 2-1 中町公祐(横浜FM)
90+8分 2-2 伊藤翔(横浜FM)
90+10分 3-2 小林悠(川崎F)

【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top