「バックパス=後方へのパス」にはあらず。ルール変更がもたらした新しいGKの理想像【サッカー用語の基礎知識】

知っているようでよく理解できていない、そんなサッカー用語を普段見聞きしていることはないだろうか。語彙の面からサッカーに迫ることで、より深い理解が可能になるかもしれない。今回は「バックパス」をキーワードに、GKのプレースタイルについて考える。(文:実川元子)

2016年10月04日(Tue)10時19分配信

シリーズ:サッカー用語の基礎知識
text by 実川元子 photo Getty Images
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バックパスの定義はGKへ意図的に戻すパス

「バックパス・ルール」導入後、GKは足でボールを処理する機会が増えた
「バックパス・ルール」導入後、GKは足でボールを処理する機会が増えた【写真:Getty Images】

「バックパス」back-passを英和辞典で引いてみた。ランダムハウス、リーダース、ウィスダムにその言葉はない。英英辞典はどうかとオックスフォード上級学習者用辞典(OALD)も調べたが、ない。

 紙の辞典を諦めてインターネットで調べると、オックスフォード現代語辞典に「味方からゴールキーパーへの意図的なパス(ゴールキーパーが蹴らないで手を使って受け取れば反則になる)」とあった。コリンズ、ケンブリッジ現代語辞典のどれもが「味方からゴールキーパーへの意図的なパス」と定義している。つい、後方にいる味方に戻すパスすべてをバックパスと考えてしまいがちなのだが、英語のback-passの定義では、パックパスの受け手はゴールキーパーだけなのだ。

 2008年、当時日本サッカー協会の会長だった犬飼基昭氏が「バックパスをした選手は交代させるように」という通達を出した。いわゆる「バックパス禁止令」である。恐らく犬飼氏も、通達を受けたチームやファンたちも、バックパスとは後方にいる味方に戻すパスを考えていただろう。

 試合を停滞させてしまうバックパスを禁止したくなる気持ちはわかるけれど、サッカーの戦術的にはいくらなんでも無理な命令でしょ、と反対者が多く、いつの間にか禁止令はうやむやになった。

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