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日本代表 7年前

適任だったアギーレ。「自分たちのサッカー」からの軌道修正。“代表らしい”チーム作り【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

相応しい指導者だったアギーレ

アジアカップのUAE戦でPKを外してしまった香川真司
アジアカップのUAE戦でPKを外してしまった香川真司【写真:Getty Images】

 アジアカップ連覇を狙う日本はいきなり仕上がっていた。前回大会は優勝したとはいえ、グループリーグの段階ではまとまっておらず、例えば本田圭佑と香川真司をどう共存させるかも明確でなかった。しかし、そのときの反省からJFAは準備期間もそれなりに用意、アギーレ監督の日本はグループリーグから危なげないスタートを切っている。

 持ち味のパスワークの良さに攻撃スピードを加え、守備も安全第一。ザッケローニ前監督時代の長所を残しながら、短所を修正していこうというチーム作りには合理性があった。おそらく、それまでの経緯から考えてアギーレ監督はアジアカップ後には再びさまざまな選手を招集していくつもりだったと思う。公式戦ではベストメンバーに固定しながら、それ以外はチームの可能性を広げる意味での選考を続けたのではないか。

 UAEに敗れたのは不覚である。圧倒的に押し込み、35本もシュートを打って1点しかとれなかった。カウンターから先制を許したのも、弱点を克服しきれていなかったといえる。ただ、日本は優勝できる力は示していた。優勝した前回大会以上のパフォーマンスはみせていたのだ。

 アギーレ監督が続けていたらどうなっていたか。代表らしいチーム作りの手順、パスワークを生かしながらの手堅い戦い方からすると、ザッケローニ後のチームを引き継ぐに相応しい指導者だったように思える。ただ、これはオシム監督の場合もそうだが、実際にやっていないので何とも言えない。方向性としては良かったような気がする、という程度である。

(文:西部謙司)

【了】

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