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日本代表 7年前

久保裕也、4年越しのA代表デビューへ。無念の五輪辞退を経て変化した日の丸への思い

text by 藤江直人 photo by Getty Images

所属クラブではリーグ戦3試合連続ゴール中

久保は所属するヤングボーイズ(スイス)で得点という結果を残している
久保は所属するヤングボーイズ(スイス)で得点という結果を残している【写真:Getty Images】

 ストライカーという言葉に対して抱く矜持は、ヨーロッパ組の一員となったいまも変わらない。リーグ戦では10回を数える先発を含めて、全14試合に出場して5ゴールをあげている。

 UEFAチャンピオンズリーグ予選と、同プレーオフ敗退に伴って回っているUEFAヨーロッパリーグでも、全8試合に出場して2ゴールをあげている。ヨーロッパ組のなかでも申し分ない実績を残しても、久保は苦笑いしながら謙遜する。

「チームにもフィットしていますけど、得点はけっこうラッキーというか、簡単なゴールが多いので。チームメイトにゴールさせてもらっているような感じなので、チームと上手くやれているな、という感じですね」

 もっとも、帰国直前の6日のFCルツェルン戦で決めたゴールは、とてもじゃないが簡単とは呼べない。むしろストライカーに必要なすべての能力が凝縮された、スーパーゴールだったといっていい。

 1‐1のスコアで迎えた後半20分から投入された久保が、眩いスポットライトを浴びたのは終了間際の同41分だった。右サイドからMFヨリック・ラヴェがアーリークロスをあげた瞬間に、久保の本能が呼び起こされる。

 相手守備陣のマークは、ファーサイドに詰めていた元フランス代表で、192センチ、80キロのサイズをもつFWギョーム・オアロに引きつけられている。状況を察知した久保はニアサイドをターゲットに、一気に抜け出した。

 そして、クロスの落ち際に足ではなく首を伸ばす。お世辞にも華麗とはいえない。泥臭い、あるいは無骨と形容されてもいいダイビングヘッドでコースを変えられたボールは、ゴール左隅へと吸い込まれていった。

 これでリーグ戦では3試合連続ゴール。ストライカーとしての「勲章」を引っさげて日本代表へ合流した22歳は、茨城県内で行われている短期キャンプで、初めて顔を会わせるヴァイッド・ハリルホジッチ監督からさっそく呼び出されたという。

「監督にも『ああいう形でゴール前へ入っていけ』と言われたので。おそらくああいう形はあると思うので、狙っていけるかなと思っています。監督からはチームの攻撃的な部分と守備的な部分を、サッカーに関することを具体的に言われました」

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