フットボールチャンネル

日本代表 7年前

久保裕也、4年越しのA代表デビューへ。無念の五輪辞退を経て変化した日の丸への思い

text by 藤江直人 photo by Getty Images

久保は「“セカンドストライカー”として面白い」(ハリルホジッチ監督)

日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督
日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 オマーン代表との国際親善試合、そしてサウジアラビア代表とのワールドカップ・アジア最終予選第5戦へ臨む代表メンバー25人が発表された4日。ハリルホジッチ監督は、初めて招集する久保にこう言及している。

「彼に関しては、フットボールの世界では『セカンドストライカー』と呼ぶ。クラブではディフェンスラインの背後やニアサイドへ走っていく、衛星的な動きを見せている。我々は普段は3トップだが、久保が入ることでアイデアが増える。

 ひとつのオーガナイズが上手くいかなかったとき、もしかしたら4トップになるかもしれない。2人のアタッカーをサイドに置き、真ん中にも2人のフォワードを置く形だ。点を取りに行く場面でのソリューションのひとつで、久保はそのときの『セカンドストライカー』として面白いと思っている。それ以外(の役割は)少し難しいのではないか」

 ヤングボーイズでもオアロの周囲を絶え間なく動き回り、ゴールとチャンスに絡んできた。もっとも、それが指揮を執って2シーズン目になる、オーストリア人のアドルフ・ヒュッター監督から求められる仕事だと久保は力を込める。

「代表に来れば監督も違うし、求められることをやれればと思う。2トップのほうが合う? あまりそういうことはないですけど、いまはチームが2トップなので、多分、それが合うと思われているのかなと」

 決して多くは発しない言葉と言葉の隙間から読み取れるのは、もし求められれば1トップでも、あるいはサイドのアタッカーもできるという矜持。実際、4年前に久保を抜擢したザッケローニ監督はこんな言葉を残している。

「すべてを器用にこなせる、近代的なフォワードだ」

 目指している究極のスタイルは、前線においてオールマイティーな存在になること。だからこそ、久保は胸中に秘めている思いを抑揚のない口調で、男は黙して多くを語らずとばかりに簡潔な言葉で紡いだ。

「どういうシステムであれ、自分は攻撃的な選手なので、どこからでもゴールを狙えるような貪欲さは見せていきたいと思います」

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top