開幕直前に辞退せざるをえなかったリオ五輪
A代表から遠ざかっている間に、日の丸にかける思いは大きく変わった。図らずもターニングポイントとなったのは、開幕直前でU‐23日本代表を辞退せざるをえなくなった今夏のリオデジャネイロ五輪となる。
今年1月に中東カタールで開催された、アジア最終予選を兼ねたAFC・U‐23アジア選手権。ヤングボーイズの許可のもとで参戦した久保は、チームでただ一人、全6試合に出場。最多となる3ゴールをあげた。
準決勝で難敵・U‐23イラク代表を下して6大会連続の五輪切符を獲得。U‐23韓国代表との決勝では2点差をひっくり返して頂点にも立った。下馬評を覆す快進撃とともに、最初で最後となる五輪にかける思いはどんどん強くなった。
だからこそ、攻撃陣に故障者が出た関係で、ヤングボーイズが五輪本大会へ久保を派遣することを拒否した状況に心を痛めた。苦楽をともに味わってきた仲間たちと、4年に一度のヒノキ舞台に立ちたい。
一方でワールドカップをはじめとする公式戦と異なり、五輪は各国協会に選手を拘束できる権利はない。ヤングボーイズと日本協会の交渉を見守り、出された結論を「無念」の二文字とともに受け入れるしかなかった。
「まあ、どうしようもなかったので。残念でしたけど、(気持ちを)切り替えるしかなかったので」
4シーズン目を迎えたヤングボーイズで最高といってもいいスタートを切っているのも、リオデジャネイロ五輪を辞退したことと決して無関係ではないはずだ。視線の先には、年齢制限のないA代表の戦いがすえられていたからだ。
「もうそこ(A代表)しかないので。常に考えていた、というわけではないですけど、A代表を目指してやってきたのは事実なので。逆にすぐ切り替えられました」
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