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日本代表 7年前

清武が挑む“香川超え”。ハリルJ新司令塔は“動き回って”サウジを撹乱させる

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka , Getty Images

右に左に。流動的になれる清武。柔軟性は大きな武器

清武弘嗣
清武弘嗣はどの位置に入っても柔軟に仕事ができる【写真:田中伸弥】

 香川はオマーン戦を欠場し、大迫との連携を確認できなかった。彼ら2人は2014年ブラジルW杯メンバーだが、当時は香川が左サイドで完全なタテ関係ではなかった。ハリル体制移行当初も何度かプレーしているものの、今回までには1年半近いブランクがあってリスクが高いのは確かだ。

 逆に清武と大迫であれば、直近のオマーン戦で息の合った連携を見せた通り、お互いを活かし活かされる関係をすぐに構築できる。「(サコは)どっしり前で構えてくれているので。五輪には一緒に行けませんでしたけど、予選とかやってきて、あいつ以上にボール収まる人は、僕はいないと思っている。

 ケルンで今、すごい試合に出ていて、得点感覚も今回出してくれましたし、そういう勢いは今のサコにはある」と清武も1つ年下の点取屋との相性の良さを強調していた。

 清武がトップ下に入るメリットは、大迫の得点力を巧みに引き出せることにとどまらない。セビージャで左右のサイドにトップ下、インサイドハーフなど複数ポジションをこなしている通り、2列目のどの位置に入っても柔軟に仕事ができるのだ。

 本田が中央寄りでプレーしたいと思えば、清武が右に移動してバランスを取ればいいし、原口を右に回して自分が左に回ることもできる。こうして流動的に動けば、サウジ守備陣をより撹乱できる。

 オマーン戦後に「試合の中で自分たちがピッチに入って監督が求めることと、自分たちがやりたいことを使い分けながら、状況に応じてプレーできたのが一番の収穫だと思います」と本人も語った通り、今の清武なら自ら判断して臨機応変にリズムの変化を加えたり、ポゼッションするところとショートカウンターを狙うところのメリハリをつけたりできる。まさに「気の利いた司令塔」として力を発揮してくれるのが、背番号13をつける男なのだ。

 もう1つ、清武を起用するメリットがある。

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