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日本代表 7年前

吉田麻也がサウジ相手に警戒する「ファウル」。ポイントは攻撃時の守備オーガナイズ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

同じファウルにしても状況次第では問題ない

 ハリルホジッチ監督がフランス語で「決闘」を意味する『デュエル』を、1対1の局面に求める合言葉として使い出してから1年以上がたった。ハビエル・アギーレ前監督に率いられた日本代表が準々決勝でUAEの前に苦杯をなめ、連覇を逃したアジアカップ2015の映像を何度も見直したのだろう。昨年3月の就任直後から、指揮官は後の『デュエル』につながる檄を飛ばしている。

「君たちは優しすぎだ。相手に当たりにいくことに対して、リスペクトしすぎている。優しく当たりにいった挙げ句、逆にひじ打ちを食らっている。常に強気で、そのなかにリスペクトの精神をもて。(強く当たりに行きすぎたときは)試合が終わってから相手に謝ればいい。試合中は全員が敵だ」

 激しく守れば、レフェリーによっては、それだけ笛を吹かれるリスクが大きくなる。ハリルホジッチ監督に求められる激しさと、自陣で余計なファウルを与えないクレバーさを両立させるために――。過去に払ってきた苦い授業料から、吉田は「変な形でボールを失わないことと、攻めているときの守備のオーガナイズが重要」と力を込める。

「同じファウルをするにしても、自分たちが高い位置でボールを奪われた直後にすかさずプレスをかけて、ファウルで相手のカウンターを止めるのは問題ない。むしろ理想といえるけど、逆に最初の守備が上手くはまらずに、全員が戻りながら守備をしなきゃいけない状況でファウルを犯せば苦しくなってしまうし、カードを出される可能性も高くなる。もちろん自陣に近ければ近いほど、セットプレーでゴールを脅かされる危険性も高まってくるので。

 常に万が一の事態、たとえば前の選手が抜かれたら、という状況に備えてポジション取りをしているけど、チーム全体としてまず実践しなきゃいけないのはデュエルに負けないこと。日本人は『こうじゃなかったらどうしよう』と考えるけど、ヨーロッパの人たちは『こうしなきゃいけない』と考える。監督が言うことも理解できるし、もちろん僕たちディフェンス陣は『こうじゃなかったら』というときに対するリスクマネジメントもしっかりしておく必要があるので」

 前出のUAE戦で犯したファウルで、吉田はカタール人の主審からイエローカードをもらっている。敵地バンコクでタイ代表を2‐0で下した9月6日の第2戦でも、吉田とセンターバックコンビを組む森重真人(FC東京)と、守護神の西川周作(浦和レッズ)がともにイエローカードをもらっている。

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