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日本代表 7年前

吉田麻也がサウジ相手に警戒する「ファウル」。ポイントは攻撃時の守備オーガナイズ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

守備陣の4人が出場停止“リーチ”という状況

2016-17シーズンは、主戦場がカップ戦になっている吉田麻也
2016-17シーズンは、主戦場がカップ戦になっている吉田麻也【写真:Getty Images】

 10試合を戦うアジア最終予選では、累積2枚で次戦が出場停止となる。森重はタイ戦でボールの空気圧の確認を求めただけでカードの対象となった。UAE戦で主審の判定に激昂し、思わずボールをピッチに叩きつけてイエローカードをもらった右サイドバック・酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)は、イラク代表との第3戦でも警告を受けた結果、敵地メルボルンで行われたオーストラリア代表との第4戦で出場停止となった。

 ゴールキーパー西川と槙野智章(浦和レッズ)を含めて、現時点で守備陣の4人が出場停止に“リーチ”がかかった状況にある。しかしながら、カードを恐れるあまりにデュエルで後手を踏み、消極的になってしまって本末転倒となる。11日のオマーン代表との国際親善試合(カシマサッカースタジアム)で、国際Aマッチ2試合目にして初先発の丸山祐市(FC東京)を90分間フル出場させたのも、ハリルホジッチ監督によるリスクマネジメントに他ならない。

 センターバックの貴重なバックアッパーとなる丸山に、親善試合を利用して少しでも実戦の経験を積ませておく。だからサウジアラビア戦では決して臆することなく、全身全霊のプレーを見せろ。オマーン戦で9試合ぶりにベンチスタートとなり、後半33分から吉田との交代でピッチに入った森重は、指揮官の意図を理解しつつ、吉田を含めたチーム全員の思いを代弁する。

「戦っていくうえで、やはりイエローカードは仕方のない部分がある。11人だけで戦うことは、どの大会でも難しいことなので。チームとして準備しなければいけないし、サブ組もそういうアクシデントがあったときに対応できるように、チャンスをうかがっていかないといけないので。いまはもしかしたら追われる立場かもしれないけど、自分も常に『試合に出ている人に勝つんだ』という思いをもってプレーしてきたので」

 ACLを含めて、森重はFC東京の公式戦のほとんどでプレーしてきた。一方の吉田は、フランス人のクロード・ピュエル新監督が就任した今シーズンのサウサンプトンにおいて、プレミアリーグ出場はわずか2試合にとどまっている。それでも、UAE戦へ向けて帰国した際にはこんな言葉を残している。

「監督が代わって状況も変わったので、またゼロからのスタートだと思っている。実際にセンターバックで争っている選手はユーロのチャンピオンにしてサウサンプトンのキャプテンであり、もう一人は昨シーズンのチームのMVPなので。非常にレベルの高い競争のなかに自分が参加できていると思っているし、レギュラーを狙っていくうえで、チャンスをもらったときに自分を出せるかどうかが大事になってくる」

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