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Jリーグ 7年前

鹿島、脈々と連なる「常勝軍団」のバトン。プラチナ世代へ引き継ぐための大一番。8度目の年間王者へ描くシナリオ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

3部門すべてタイ記録も色あせないレッズの年間成績

 今シーズンの頂点を争う戦いは、先勝したレッズが優位に立った。第2戦で勝てばもちろん、引き分けでも2試合で勝利数がアントラーズを上回るために、10シーズンぶり2度目のJ1王者の称号を手にする。

 さらに敗れたとしても、スコアが0‐1ならばレッズに凱歌があがる。(1)の2試合の得失点差、(2)の2試合におけるアウェイゴール数がすべて並び、年間勝ち点1位のアドバンテージを得るからだ。

 ゆえに冒頭の部分で「2ゴール以上を奪ったうえで勝つ」と、アントラーズが逆転で7シーズンぶり、他のクラブの追随を許さない8度目のJ1王者を勝ち取るための条件を記した。

 たとえば2‐0のスコアで勝った場合は(1)を、2‐1ならば(2)のそれぞれ条件を満たす。実際、埼玉スタジアムで6月11日に行われたファーストステージ第15節は、鹿島が2‐0で快勝している。

 もっとも、このときのレッズはPK戦の末にFCソウルに屈し、ACL制覇の目標が決勝トーナメント1回戦で砕け散った直後。メンタル的にどん底で、続くガンバ大阪、サンフレッチェ広島戦でも黒星を喫した。

 リーグ戦で喫したまさかの3連敗ともに、レッズはファーストステージの優勝争いから脱落。敵地で快勝したレッズ戦を含めて怒涛の6連勝でフィニッシュしたアントラーズが、逆転で優勝を果たしている。

 もっとも、セカンドステージ制覇とともに刻まれたレッズの鮮やかなV字回復ぶりを見れば、約半年前の対戦結果をそのまま今回に当てはめることは、やや無理があると言っていいだろう。横浜F・マリノスと1‐1で引き分けたセカンドステージ最終節。残り5分強を守り切っていれば年間総合勝ち点76、年間勝利数24とJリーグ記録をそろって更新することができた。

 加えて、もしマリノスを零封して総失点27のままならば、J1が18チーム体制となった2005シーズン以降の年間勝ち点1位チームでは、最も少ない数字を記録するところだった。

 最終的に3部門ですべてタイ記録に終わったが、だからといって今シーズンのレッズが歩んだ軌跡が色褪せることはない。むしろマリノス戦で引き分けた悔しさを、チャンピオンシップ決勝への糧にしてきた。

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