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Jリーグ 7年前

鹿島、脈々と連なる「常勝軍団」のバトン。プラチナ世代へ引き継ぐための大一番。8度目の年間王者へ描くシナリオ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

常勝軍団の系譜を受け継ぐために重要な一戦

土居聖真
攻撃のキーマンとなる土居聖真【写真:Getty Images】

「非常にいい状態になってきている。試合には負けてしまったが、それ(柴崎の復帰)はいい材料になったと思う。自分たちからボールを奪いにいく形を考えつつ、自分たちから相手陣内でボールを動かすことが重要になる。そのために今日は交代の選手を入れたわけですが、そういった選手が要望通りの動きをしてくれたことで、次への期待が高まったと思う」

 第1戦ではキャプテンの小笠原満男と永木が組んだボランチが機能した。球際の攻防を制して相手ボールを奪い、前へ運ぶという仕事で、2人は第2戦でも人体にたとえれば左右の「肺」を担うだろう。

 そして、柴崎が先発に復帰して「心臓」を担うとすれば慣れ親しんだボランチではなく、途中出場した第1戦と同じく2列目の左サイドとなる。その攻撃力で、相手により重圧をかける意味でも理にかなう。

「今日よりもさらに攻撃的に行かなきゃいけないし、でもそのなかで失点してしまえば絶望的になる。難しいところにはなりますけど、それでも絶対に2点以上取って勝ちたい」

 第2戦の戦い方に言及したのはFW土居聖真だ。アントラーズ最大のチャンスだった後半6分の遠藤のシュートを1本の縦パスで演出し、後半アディショナルタイムには前出の柴崎のクロスをヘディングで巧みに流すも、惜しくもシュートをポストの右に外して天を仰いだ男も静かに腕をぶす。

 リスクを極限まで冒し続けたうえで、リスクマネジメントをも常に共存させる。一見すると二律背反に映る攻守両面の仕事を、90分間を通して完遂させる以外に逆転優勝への道は開けない。

 昌子も土居も、そして柴崎も、くしくもJリーグがスタートする前年の1992年に産声をあげた。ともに入団6シーズン目で、柴崎と土居は5月にすでに、昌子も来週に24歳になる。
 
年齢的にも若手から中堅の域に達しようとしているプラチナ世代にとっても、常勝軍団アントラーズに脈打つ伝統のバトンを託される過程で極めて重要な意味をもつ大一番は、19時半にキックオフを迎える。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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