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Jリーグ 7年前

CS仕様の鹿島、「普段通り」の浦和。交代カードで顕在化した勝負強さの差

text by 藤江直人 photo by Getty Images

あくまでも相手の弱点を攻めたて、反撃の糸口を与えず

浦和のFWズラタン(中央)に対応する鹿島アントラーズのDF昌子源(左)とファン・ソッコ(右)
浦和のFWズラタン(中央)に対応する鹿島アントラーズのDF昌子源(左)とファン・ソッコ(右)【写真:Getty Images】

 最大の意図は相手の左サイドに与える脅威を、鈴木と伊東を縦に並べることで倍増させるためだったと容易に察しがつく。加えてもうひとつ、ピッチで戦うアントラーズの選手たちのモチベーションを、大いに刺激する選手交代でもあった。

「(小笠原)満男さんが交代したときに『エッ、何で』とかなり悔しそうな顔になったのを見た。それで満男さんがおらんようになったピッチで1点取られて、というのもやっぱりできないので」

 試合後にこう語ったのはディフェンスリーダーの昌子源だ。第2戦の決勝点となり、2試合トータルのアウェイゴール数でも上回る金崎のPKが決まったのは、小笠原の交代から6分後の79分。スルーパスに抜け出して、DF槙野智章のファウルを誘発したのは鈴木だった。

 リーグ戦とは異なる石井監督の采配はまだ続く。残された最後の交代カードが切られたのは88分。大仕事をやってのけた鈴木に代えて、FW赤崎秀平をそのまま中盤の右サイドに入れた。あくまでも相手の弱点を攻めたて、反撃の糸口を与えない選手起用だった。指揮官はこう説明する。

「鈴木の交代は守備のところで対応が遅れていた部分があった。体力的な部分ではなく、PKを獲得したときに痛めた部分もあって、パフォーマンスが少し落ちていたので交代させました」

 勝ち越された直後から、すでに交代のカードを使い切っているレッズは槙野を前線にあげるパワープレーにスイッチ。ズラタンとの即席ツートップとの空中戦で体を張っていた昌子は、186センチの長身DF植田直通がパワープレー対策として最後に投入されるのでは、と考えながらプレーしていた。

「そうしたら、交代を告げる音が鳴って見たら(赤崎)秀平君だったので。ここは僕と(ファン・)ソッコで絶対に弾き返すぞ、絶対に真ん中を固めるぞと、という話をしました」

 4分間のアディショナルタイムを含めた、残り時間で相手をシャットアウトする闘志を一気に高めるうえでも有効だった3人目の交代。第2戦に限れば、一発勝負用の采配に徹した石井監督の「掌のうえ」で、最後までレッズは踊らされたことになる。

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