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Jリーグ 7年前

CS仕様の鹿島、「普段通り」の浦和。交代カードで顕在化した勝負強さの差

text by 藤江直人 photo by Getty Images

アドバンテージを生かせなかった浦和

 佐藤から浅野へのスイッチは、シーズンを通してまるで判で押したように後半途中に行われた。しかし、決勝第2戦においては前がかりになったガンバの背後を突くうえで、快足を誇る浅野の存在はカウンターという刃をちらつかせることで抑止力にもなった。

 ガンバはさらに前線へのプレッシャーを高めようと、64分にFW長沢駿に代えてFWパトリックを投入する。すると、直後の65分にはサンフレッチェが右ワイドのミキッチに代えて、縦に速い柏好文を同じ右ワイドに入れた。

 ガンバが先に動くのを待ち、状況に応じたカードを切ってくる森保監督の采配を、長谷川監督は苦笑いとともにこう振り返っている。

「宇佐美が守備はできないと森保監督が判断して、柏を(対面に)入れたのではと思いますけど、追いかける側のチームが先に動いたときにチャンスもあれば、ピンチも生まれる。そこは勝負のあやだと思います」

 試合は76分、宇佐美に対する抑止力をも託されていた柏が右サイドからあげたクロスを、浅野がジャンプ一番、完璧なタイミングでヘディング弾を見舞って同点とする。残り1枚のカードを切ったのは後半終了間際。左ワイドの清水航平に代えてDF水本裕貴を入れて、危なげなく逃げ切った。

 昨シーズンのサンフレッチェと今シーズンのレッズを比較すれば、第1戦の勝利で得たアドバンテージを生かし切れていなかったかがわかる。しかも、貴重な残り1枚のカードを、ペトロヴィッチ監督はアントラーズよりも先に使ってしまう。

 興梠がFWズラタンに代わったのは71分。もはや左サイドにフタはされないことを確認したうえで、石井監督は73分にキャプテンのボランチ小笠原満男をベンチに下げる。代わりに投入されたのは右サイドバックの伊東幸敏。それまで右サイドバックを務めた西大伍がボランチに回った。

 小笠原の交代と西のボランチ起用は、第1戦の後半アディショナルタイムでも見られている。翻って第2戦では、勝利をつかみ取るために1点が必要な状況で、37歳の精神的支柱をベンチへ下げた。

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