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本田圭佑 7年前

本田圭佑、先発予想もなぜベンチスタートだったのか? 指揮官の決断が意味する10番の現状

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ミランの成長に本田は関われず

モンテッラ
ミランのヴィンチェンツォ・モンテッラ監督【写真:Getty Images】

 ただローマは、選手の地力の差を利して抵抗し、試合を徐々に自分たちの流れに持っていった。ルチアーノ・スパレッティ監督は、ブルーノ・ペレスの故障とステファン・エル・シャーラウィの投入に伴ってシステムを変更するとともに、中盤の選手の位置関係にも細かな修正を加えた。間のスペースに入られていたスソやベルトラッチ、そして中盤の底のマヌエル・ロカテッリにきっちりプレスが掛かるよう、ナインゴランやダニエレ・デ・ロッシのポジショニングを細かく調整した。

 こうして中盤の守備を噛み合わせたローマは、ボールを奪うと個々の力量で局面を打開し、流れをつかんだ。ロカテッリにプレッシャーをかけたのち、軽やかなボールコントールで背後を取って、左足のシュートをねじ込んだナインゴランの決勝ゴールはその象徴だった。

 逆にこうなると、ミランとっては厳しかった。中盤の選手を中心に失点後は運動量を落とし、ローマのパワフルなショートカウンターを次々と喰らうようになる。DF陣はエディン・ジェコのパワーに振り回され、ラインを下げていく。交代選手投入も流れを変えるには至らず、ミランは体力負けした。ただ、地力に勝るローマと互角以上に渡り合ったことは、若い選手の多いチームには成長への自信となるだろう。

「今のミランは強豪としてカウントするべきだ」と敵将のスパレッティ監督は語っていたが、ミランはその通りにチームとしての高い成長度を披露した。スソの後塵を拝して試合にあまり出られず、チームの成長過程にあまり関われていなかった本田が選択されなかったというのは、必然というか仕方のない話だったのかもしれない。

「これまで、内容の上ではどの相手にも引けは取らなかった。このローマに対してもそうだったと思う」とモンテッラ監督は誇らしげに語った。後半戦でうまく戦力を上乗せできれば、ミランはさらなる成長を遂げそうだ。

(取材・文:神尾光臣【ローマ】)

【了】

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