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内田篤人 7年前

それでも内田篤人が必要とされる理由。シャルケを感服させた639日間の執念【海外組の真価~日本人選手の現在地】

text by 本田千尋 photo by Getty Images

内田を「知らない」ヴァインツィール監督。復帰を急かさず

マルクス・ヴァインツィール
シャルケのマルクス・ヴァインツィール監督【写真:Getty Images】

 もちろん、握手を求めただけでその行為が選手としての存在価値を認めてくれている、とは言い切れない。ただの挨拶と言ってしまえば、それまでだ。

 しかしチーム編成において重要な権限を持つハイデルGMが、内田のこれまでのシャルケにおけるブンデスリーガやCLの戦績を、長期離脱中とは言え、そのまま不要なものとして片付けてしまうとは考えにくい。「要らない」と言わない背景には、そういったところもあるだろう。

(なお、なぜシャルケが長期間に渡り内田の復帰を待つことができたのか、クラブ広報に問い合わせたが、回答を得ることはできなかった。後日、機会があればハイデルGMに取材したい)

 アクセル・シュスターSDについては、度々ドイツメディアなどに内田の復帰に関して言及してきたように、言わずもがなだ。

 ただヴァインツィール監督は、内田のことをさほど気に留めていなかったのではないだろうか。ザルツブルク戦の後で、内田は次のように感じている。

「今日の出場時間を見ても、監督は俺のことを…知らない選手なんだろうなって感じがするよね。だってイェンス・ケラー(シャルケの前監督)だったら、後半頭から出したもん」

 そして復帰した後の12月14日、練習中に行われた紅白戦で内田は控え組の〈左SB〉に入った。もし「イェンス・ケラーだったら」、少なくとも〈右SB〉で使っただろう。ヴァインツィール監督にとっては、内田は前任者から引き継いだ選手ということになる。ザルツブルク戦を終えてなお、ヴァインツィール監督が内田の復帰を急かすことはなかった。

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