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内田篤人 7年前

それでも内田篤人が必要とされる理由。シャルケを感服させた639日間の執念【海外組の真価~日本人選手の現在地】

text by 本田千尋 photo by Getty Images

鹿島でも続けたリハビリ生活。復帰に向けて見せた強い執念

アレッサンドロ・シェプフ
右WBで安定したプレーを見せるアレサンドロ・シェプフ【写真:Getty Images】

 現在3バックを採用するシャルケの右WBでは、オーストリア代表のアレッサンドロ・シェプフが安定したプレーを続けている。3バックに対して、少し高めの位置を取る左右のWBは、ヴァインツィールの戦術の肝でもある。自陣と敵陣のゴール前を行き来するアップダウンに加え、さらに得点に絡むプレーも求められるポジションだ。

 もちろんコンディションを取り戻せば、内田に務まらないポジションではないだろう。しかし年が明けてなお、2月の終わりの段階で内田のコンディションはまだ100パーセントの状態ではない。2月27日のトレーニングには合流し、全てのメニューを問題なくこなした。6対6のミニゲームでは、ヴァインツィール監督の眼前で、左右のウイングバックのようなポジションをこなしている。

 たしかに右サイドでシェプフは安定したプレーを続けている。しかし、仮に何かのアクシデントでシェプフを欠いたとき、バックアッパーがいないのも事実だ。コンディション面も含め、そういった意味でヴァインツィールはまだ内田の能力を見極めている段階と言えそうだ。

 そして何より、シャルケが内田を手放そうとしなかった理由は、内田の復帰に賭ける執念そのものにあったのではないだろうか。

 昨年6月の鹿島アントラーズでのリハビリを経て、7月にシャルケに戻ってきてからザルツブルクに向かうまで、誰よりも奮戦したのは他ならぬ内田だった。

 バイエルン戦の1週間ほど前から、鹿島アントラーズのトレーナーとデュッセルドルフにいるトレーナーを自ら繋いだ。好感触を得た鹿島でのリハビリを、ドイツでも行うためだ。

「シャルケにも言った。俺の足は普通にやっていたら治らないから、デュッセルドルフに住んでいる日本人のトレーナーをリハビリ施設に入れていいかって。オッケーをもらったから、たまに来てもらっている」

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