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アトレティコvsバルサ、収縮と拡散の戦い。潮目となった60分、高インテンシティ継続の限度【西部の目】

25日、リーガエスパニョーラ第24節、アトレティコ・マドリー-バルセロナの一戦が行われ、アウェイの地に乗り込んだバルサが終了間際に決勝点を奪い勝ち点3を獲得した。攻撃時はピッチを広く使い、守備時ではコンパクトな陣形を作るのがサッカーのセオリーであるが、この1戦は、正反対の志向を持つチームによるゲームとなった。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

広げたいバルサ、縮みたいアトレティコ。正反対の志向

バルセロナは3バックの右に入ったピケにボールを持たせ、アトレティコのMF陣を引き出そうとした【写真:Getty Images】
バルセロナは3バックの右に入ったピケにボールを持たせ、アトレティコのMF陣を引き出そうとした【写真:Getty Images】

 攻撃は広く、守備は狭く。サッカーのセオリーだが、リーガエスパニョーラ第24節は広げたいバルセロナ、縮みたいアトレティコという正反対の指向を持つチームの対決だった。

 バルセロナは中盤を菱形に組む3-4-3でスタートした。フラット型4-4-2のアトレティコに対して、右に左にボールを動かしてフリーで起点になりうる選手を作ろうとする。とくに3バックの右側担当のピケにボールを持たせて、アトレティコのMFを引っぱり出そうとした。

 プレス最優先のアトレティコはサウールがピケへ向かっていく。アトレティコのポジション修正が速いせいか、あるいはピケに来るのがサウールとは予想していなかったのか、バルセロナは上手くパスを回せない。

 拡散して「ロンド」に持ち込もうとしたバルセロナは目論見が外れ、収縮指向のアトレティコのリズムで前半は進む。アトレティコはサイドチェンジを全くといっていいほど使わない。ボールサイドを攻め切ろうとする。フィールドの半分にほとんどの選手が入ってしまう状態に、あえてしている。

 味方が集まってくれば、相手も集まってくる。密集になる。密集であれば、ボールを失ってもプレスをかけやすい。だからアトレティコはボールを下げない。一時的に下げてもすぐ前へフィードするために下げるだけ。前へフィードして全体が前へ押し上げることで、相手ボールになってもプレスで優位に立てるからだ。

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