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Jリーグ 7年前

大久保嘉人が“トーキョーの男”になった日。古巣への感謝、「ごめん」で踏み出した新たな一歩

去る18日に行われたJ1第4節のFC東京対川崎フロンターレ。「多摩川クラシコ」として注目されたこの試合に、特別な想いで臨んでいた選手がいた。青と赤の戦闘服をまとった大久保嘉人。昨年まで川崎フロンターレに所属していた背番号13は、いつも以上にゴールに飢えていた。本当の意味でFC東京の一員となるために。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

やっと決まった初ゴール。4年間を過ごした古巣相手に

今季からFC東京でプレーする大久保嘉人
今季からFC東京でプレーする大久保嘉人【写真:Getty Images】

 ゴールを決めた後、歓喜に沸くサポーターのもとへ駆け寄った男は、両手を合わせていた。

「ごめん」

 移籍してから初めてのゴール。当然溢れる喜びを全身で表しても良い場面だったが、謝罪の言葉が聞こえてくるようだった。

 今季からFC東京でプレーする大久保嘉人は、J1第3節のガンバ大阪戦に敗れた後、悔しさのあまりユニフォームを脱いで投げ捨て、蹴り上げた。本人はのちにブログで「支えてくださっている方々、一緒に戦っている仲間に対して、申し訳なく思っています」と謝罪したが、“やってはいけないこと”をしてしまった。

 そして迎えた18日のJ1第4節、川崎フロンターレ戦。大久保にとっては多摩川クラシコである以上に、古巣との特別な試合であり、FC東京ファンに“トーキョーの男”である姿を見せなければいけない試合だった。

 4シーズン連続15得点のストライカーが、開幕から3試合ゴールを挙げられていないというのも焦りを加速させていた。

 迎えた川崎フロンターレとの多摩川クラシコ。FC東京は前半をスコアレスで終え、終盤に差し掛かった76分、大久保のスルーパスを起点に阿部拓馬が相手GKチョン・ソンリョンのオウンゴールを誘って先制。86分には大久保よりも後に加入したピーター・ウタカが初ゴールを奪った。

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