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日本代表 7年前

今野泰幸がもたらした新たなオプション。「出来すぎ」の34歳MFが見せた攻守のダイナミズム

日本代表は23日、ロシアワールドカップ・アジア最終予選でUAEと対戦し、2-0の勝利を収めた。この試合で存在感を放っていたのは、2年ぶりの代表復帰を果たした今野泰幸だ。試合を決定付ける2点目を決めるだけではなく、攻守両面で貢献を見せていた。特にインサイドハーフでコンビを組んだ香川真司を活性化させる働きも見せ、これまでのハリルジャパンとは違う攻撃のリズムを生んでいた。34歳のベテラン起用は、香川再生の光明となるかもしれない。(取材・文:元川悦子【アル・アイン】)

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka

ハリルJ、敵地でUAEを一蹴。34歳の今野が抜群の存在感

今野泰幸
2年ぶりの日本代表復帰となった今野泰幸【写真:田中伸弥】

 6大会連続ワールドカップ出場を果たすべく、敵地UAEでのリベンジが求められた23日の日本代表。しかし大一番を前に長谷部誠(フランクフルト)、高萩洋次郎(FC東京)の両ボランチが離脱。中盤が手薄になってしまった。UAEには2016年アジア年間最優秀選手に輝いたオマル・アブドゥルラフマンという天才司令塔がおり、彼を確実に封じなければならなかった。

 そんな中、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がどんな対策を講じるかが注目されたが、ふたを開けてみると、今回の日本代表の基本布陣は4-3-3。中盤のアンカーに山口蛍(C大阪)を据え、右インサイドハーフに香川真司(ドルトムント)、左インサイドハーフに今野泰幸(G大阪)を並べるという大胆なトライに打って出た。

 2年ぶりに代表復帰した今野も「オマルの管理っていうのは相当口酸っぱく言われたし、試合前からミーティングとかも沢山した。でも相当技術が高いんで、入る前はすごい不安でした。ポジションもガンバでやってるのとはやっぱり違う。全然一緒にプレーしてない人といきなりやるわけだから連携もくそもないし、ハリルのサッカーも体感していない。すごい難しさはありました」とピリピリするような緊張感の中、試合に挑んだという。

 それでも今野と山口、左FWの原口元気(ヘルタ)、左SBの長友佑都(インテル)、左DFの森重真人(FC東京)の5人を中心としたオマル潰しはうまく機能した。彼がボールを持つと2~3人がチェックに行って仕事らしい仕事をさせない。昨年9月の最終予選初戦で2得点を挙げて日本を奈落の底に突き落としたアハメド・ハリルが負傷欠場し、日本のDF裏に飛び込んでくるのがアリ・マブフート1人だったのも幸いし、相手に主導権を与えなかった。

 そんな状況下の前半14分、新天地ヘントで7戦5発とゴールラッシュを見せている久保裕也が凄まじいゴールへの嗅覚を見せて先制点をゲット。「最初に久保が点を取ってくれたんで、僕も安心しましたね。ホッとしました」と今野も語ったが、それはチーム全体の共通認識だったに違いない。

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