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日本代表 7年前

今野泰幸がもたらした新たなオプション。「出来すぎ」の34歳MFが見せた攻守のダイナミズム

text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka

守備の貢献、香川の活性化、3トップとの連携。今野起用は新たなオプションに

ヴァイッド・ハリルホジッチ
今野を抜擢と4-3-3採用を的中させたヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:田中伸弥】

 後半に入ると今野が前線に上がる回数は一段と増え、後半6分の追加点が生まれる。吉田麻也(サウサンプトン)のロングフィードを大迫が競って落とし、久保が右サイドで駆け引きして折り返したところにベテランMFが飛び込んだのだ。

「得点シーンは全く練習ではやってない。チャンスだと思ってかぎ分けた」と本人は天性の勘が働いたことを明かしたが、彼が前線3枚と絡んで攻めに出たシーンは随所に見られた。大迫は2014年ブラジルワールドカップに参戦した仲間だが、久保、原口とはプレー経験が浅い。それでも違和感なく彼らとも連動できていた。そこも前向きな要素と言っていい。

 結果的に日本は因縁の相手を敵地で2-0と一蹴。最終予選グループBで2位の座を死守することができた。ハリルホジッチ監督の今野抜擢と4-3-3システム採用は見事に的中。当初、「長谷部の代役」として投入された男は守備面でオマルやマブフートらを封じて失点ゼロで乗り切る原動力となり、攻撃面でも香川を活性化させ、前線3枚との好連携を見せた。

 今野自身は「今日は点も入って出来すぎ。奇跡ですね、奇跡」と冗談交じりに笑ったが、むしろ長谷部以上の存在感を示したと言っていいだろう。彼が代表に新たなオプションをもたらしたのは紛れもない事実だ。

 彼が久保や浅野拓磨(シュトゥットガルト)ら若い力と融合し、これまで以上に多彩な戦い方のできる強い日本代表が構築されれば理想的である。

(取材・文:元川悦子【アル・アイン】)

【了】

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