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Jリーグ 7年前

FC東京・廣末陸への期待感。元代表守護神・川口能活の目に映った選手権優勝GKの資質

text by 藤江直人 photo by Getty Images

デビュー戦無失点も自身のプレーは「60点くらい」

 守っては前半29分、MF普光院誠が放ったシュートを左へダイブ。懸命に伸ばした左手で、コーナーキックへと局面を変えた。

「もともと緊張するとか、そういうタイプではないので。試合を楽しめたかな、とは思います」

 両チームともに無得点の均衡が崩れたのは後半13分。FC東京U‐18所属の17歳、MF小林幹があげたプロ初ゴールを全員が体を張って死守し、開幕3戦目にして初白星をもぎ取った。中村監督は特に守備陣の間で途切れなかった集中力を勝因にあげている。

「苦しい時間帯が続いたなかで、ゴールキーパーやセンターバックを中心によくはね返して、こぼれ球を拾う作業を根気強く繰り返してくれた」

 公式戦デビューを白星で、それも完封で飾り、試合後にはサポーターのリクエストに応える形で、FC東京恒例の勝利の勝ちどき「シャー!」まで実践。廣末は終始、笑顔を浮かべていた。

「自分自身のプレーとしては60点くらいなんですけど、ただ無失点でデビューを飾れたこと、2連敗だったチームの流れを変えられたことは本当によかったと思います。今日は『シャー!』をやるようなプレーはしていないんですけど、サポーターの方々の配慮でやらせていただいて。正直、最高の気持ちでした」

 青森山田の一員だった昨年12月11日。高円宮杯U‐18プレミアリーグEASTの最終節で、FC東京U‐18と優勝をかけて対峙した。会場となったFC東京小平グラウンドには大勢のFC東京サポーターがかけつけ、威圧感と緊張感とを覚えながらプレーしたと苦笑いで振り返る。

「ゴール裏を含めて、ぐるりと囲まれて。あのときは相当嫌でしたけど…いざ応援される立場になると、こんなにも心強いんだなと。(プロになって)なかなか上手くいかなかった時期もありましたけど、そのなかでも応援してくれる方がいて本当に嬉しかった。それ(応援)を力に変えて、これからもやっていきたい」

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