持ち味を発揮した川又とアダイウトン
複数ゴールを奪った上に無失点と、前節まで暗いトンネルの中を彷徨っていたジュビロ磐田が鮮やかな勝利を挙げた。しかも相手は、リーグの主役の一角を担うガンバ大阪だった。
「勝ち点3と同じくらい先制点に執着してやってくれた」と、名波浩監督は選手たちの姿勢を評価する。5試合勝ちなしのうち4試合でノーゴール。先にスコアさえ動かせていれば、という試合を繰り返すチームにあって、人一倍責任を感じていた川又堅碁とアダイウトンがついに持ち味を発揮した。
強靭なフィジカルと馬力のあるランニングで圧力を与える彼らは、相手CBを弾き飛ばし、入れ替わることでゴールを記録した。J1制覇を狙う強豪に敢然と立ち向かい、3-0という結果を得られたのは、2人の活躍によるところが大きい。
特に、川又にとっては待望の1試合2得点だ。前節までに挙げたゴールは『3』。前線からのプレスやポストプレーと数字に表れないところでの貢献は確かに目を見張るものがあった。しかし、爆発しそうな気配を漂わせながら燻り続けた。
最後にネットを揺らしたのは、明治安田生命J1リーグ第9節・北海道コンサドーレ札幌戦だ。この得点は立ち上がりに2点ビハインドを背負ったチームの目を覚まさせるものだったが、結果は引き分けに終わった。
磐田は勝利から遠ざかり、翌節のヴァンフォーレ甲府戦からはチームとして得点すら奪えなくなる。
どの試合もチャンスはあった。完敗となった川崎フロンターレ戦や柏レイソル戦、スコアレスドローのサンフレッチェ広島戦でも、最初に決定機を迎えたのは磐田だった。川又自身にも千載一遇の場面があったものの、シュートを放った後の表情は悔しさで滲んだ。