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Jリーグ 7年前

新生マリノス、“勝利の方程式”。J1連続フル出場新記録の鉄人、中澤佑二が語る「最適解」

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「結果も内容も」と言っているようなチームではない

 レッズ、コンサドーレからともに3ゴールを奪い、連勝スタートを切った開幕直後に放った爆発力は衝撃的だった。2列目の左に陣取った齋藤学が仕掛ける攻撃はまさに無双で、対面のマーカーが寄せてくれば高速ドリブルで抜け出し、間合いを取ってくれば味方とのコンビネーションを駆使する。

 しかし、当然ながら相手にも研究される。右から仕掛けるマルティノスを含めてカウンター対策を徹底されると攻撃が手詰まりとなり、第10節を終えた段階では黒星が先行してしまう。開幕から2戦連続でゴールを決めた、新加入のMFダビド・バブンスキーも次第に精彩を欠くようになった。

 6月に入ってからはボランチとしてフル出場していた4年目の天野純を、順天堂大学時代から主戦場としてきたトップ下に配置転換。齋藤とマルティノスの位置を入れ替えるなど、指揮を執って3シーズン目を迎えているエリク・モンバエルツ監督も苦境の打開に腐心してきた。

 もっとも、特に攻撃面で荒波に直面することは、今シーズンの航海に出たときから覚悟のうえだった。象徴的な存在だったレジェンド、司令塔の中村俊輔(現ジュビロ磐田)をはじめ、MF兵藤慎剛(現コンサドーレ)、右サイドバックの小林祐三(現サガン鳥栖)らのベテランがオフに新天地を求めた。

 一方で「堅守」というマリノスの伝統を支えてきた中澤や、元日本代表の栗原勇蔵のディフェンダー陣は残留した。中澤がリーグMVPを獲得した2004シーズンを最後に、J1の頂点から遠ざかっているマリノスの戦い方がより鮮明になったと、中澤本人が神妙な口調で語ったことがある。

「いまは内容うんぬんよりも、結果を求めることが大事なので。これが何回も優勝しているようなクラブだったら、内容も突き詰めていく必要があるだろうけど。マリノスはしばらく優勝していないし、結果も内容も求める、なんて言っているようなチームではないので。

 とにかくいまは泥臭くてもいいから、勝ち点3という結果をしっかり取り続けていくこと。上位のチームに離されないことが、要は大事になってくる。9月や10月に入るくらいまで、このまましっかりと上位に食らいついていたい、という思いがやっぱりありますよね」

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