苦しみを闘志に変えるシメオネの強い“信念”
シメオネ率いるアトレティコはレアル・マドリーにCLで負け敗退している【写真:Getty Images】
「危機的な状況というものは素晴らしい。学びを得るためには最高である(『信念』より引用)」
シメオネは、残留争いに身を置く状況だったラシン・クルブで選手を引退してから、わずか3日後には試合で采配を振るうこととなった。この言葉は、ラシンの監督に就任した当初に学んだことで、その時は苦しみを感じていても、将来的には貴重な経験として蓄積されるという意味である。
現在シメオネが率いているアトレティコ・マドリーは、CLにおいて4季連続でライバルのレアル・マドリーとの直接対決に敗れ、敗退を余儀無くされた。しかし、その大舞台でライバルに負けるという悔しさこそが、シメオネを動かす大きなモチベーションになっていると倉敷氏は語る。
「取れていないタイトル。そしてライバルに負けているという悔しさが、次のモチベーションになる。シメオネに残された使命の一つというのは、もう一回、ライバルをCLでも倒す。倒して上に行って優勝する。というところが、多分大きなモチベーションになっている」
どのような危機的状況も学びの場であり、その経験はいずれ血肉となって活きていく。そんなシメオネの強い”信念”が、アトレティコ・マドリーを世界の頂点に近づけているのかもしれない。
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