最大のチーム力を引き出す、シメオネのモチベート術
監督としてグループの力を引き出す能力に長けているシメオネ【写真:Getty Images】
「我々がチャンピオンになれると信じていない人間は、スタジアムに来ないでほしい(『信念』より引用)」
これは、エストゥディアンテス(アルゼンチン)を率いていた当時、最終節を首位のボカ・ジュニアーズから勝ち点3差の2位で迎えた際に、シメオネが記者会見で放った一言である。自らの勝利を信じることができなければ、奇跡は起きないという意味だが、実際にこの言葉を受けた選手たちは最終節を1-0で勝利し、奇跡的な逆転優勝を遂げた。
倉敷氏は、中継する試合を通して「これは良い言葉をもらって入ってきたな」ということを感じる時があるそう。
「これは必ず良い言葉を言われた人たちがここに出てきたんだろうなと感じる試合は何試合もあるので、監督の言葉って重要だと思いますね」
シメオネは『信念』で「監督の資質は、自グループを管理するため、各選手の力を最大限引き出すために、 どのような仕事を実現していくかという方法にある」と述べている。グループの力を引き出すというその能力こそ、まさしくシメオネの真骨頂と言えるだろう。
【次ページ】「困難の中にも可能性がある」窮地で奮い立つ闘将