シメオネの研ぎ澄まされた集中力
試合前のシメオネの集中力は研ぎ澄まされている【写真:Getty Images】
「ピッチに通じるトンネルをくぐる、それはフットボールにおいて最高の瞬間の一つだ。まるで未来への旅のようでもある。ずっと言い続けてきたことだが、私から100メートルの距離で爆弾が爆発したとしても、自分の耳には入らない(『信念』より引用)」
この言葉は、ピッチ入場の前に選手が待機しているトンネルの中にいる時から、シメオネはすでに集中力が研ぎ澄まされた状態にあることを説明しているものである。彼にとってフットボールとは「心の準備」。そして心の準備とは、「試合が行われるずっと前からそれに立ち向かっているという形であり、この競技について感じていることをピッチ上でどう表すか決める方法である」と『信念』で述べている。
シメオネは「(トンネルの中で)ジョークを飛ばす選手もいる」と様々なタイプの選手がいることも明かしている。しかし、試合を“戦争”と捉えている彼にとって、ピッチへと通じるトンネルの中とは、戦場に向かって緊張感と集中力を高めていく「旅」であったのかもしれない。