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代表 7年前

オーストラリア代表、主将不在も充実のメンバー。W杯出場かけ、史上最大の日本代表戦へ

text by 植松久隆 photo by Getty Images

日豪戦はメンタル面で豪州優位? 熱戦必死の超大一番に

 ポスタコグルー監督は、メンバー発表の会見で「(日本戦とその後のタイ戦に向けて)私たちがフォーカスしているのは、日本でポジティブな結果を得て、それからメルボルンの母国の土の上でこの最終予選を勝利で終えるということ」と語った。

 この発言での「日本戦でのポジティブな結果」とは何を意味するのか。それは、普通に考えれば、最終戦にホームでグループ最下位のタイとの対戦を残すがゆえに「ドローでも問題ない。日本戦は負けなければいい」という考えになりがちかもしれない。仮に日豪戦で引き分けても、タイ戦に勝てば2試合で勝ち点4を積み重ねて、最終的に勝ち点20まで積み上げられる。そうなれば、上位2位でのフィニッシュはより現実的になる。

 果たしてポスタコグルー監督は、そのように考えているのか。豪州フットボール界にセンセーションを巻き起こしたアンジ・ポスタコグルーという監督をブリスベン・ロア時代から知る身として、その心の内を忖度すれば、「負けなきゃ御の字だが、俺は勝ちたい」と考えているように思う。ポスタコグルー監督が、昨年のメルボルンでの日豪戦でのまさかの守備的な戦いで、ホームで勝ち点3を取れる試合を逃して引き分けに終わったのと同じ轍を踏むとは到底考えられない。

 日豪戦を前に行われるUAE対サウジアラビア(29日、アル・アイン)で、仮にサウジがアウェイで勝てば、その2日後の日豪戦のガチンコ度はグンと上がる。そうなれば日本へのプレッシャーはさらに高まり、ピッチの内外で「負けられない」思いがよどむに違いない。そうなれば、これまでのW杯最終予選で日本と5戦戦って負けのないアウェイに乗り込むサッカルーズが、メンタル面で俄然優位に立ってしまう。

 今回の埼玉決戦は、日豪戦の歴史の中でも特筆すべき熱戦となることは必至。それが日本にとって「歓喜」で終わるのか、「絶望」で終わるのか…筆者は、切に前者を願う。と同時に、それが決して簡単なタスクではないことも非常によく分かっている。泣いても笑っても、運命の日豪戦まで、あと6日ーー興奮は収まらない。

(取材・文:植松久隆【オーストラリア】)

【了】

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